多摩川風景(色鉛筆)

性こりも無くまだ取水所に取り組んでいる。
同じ構図の濃い画が続くので、口直しに小さなスケッチを。。

多摩川を渡った川崎側で友人の写真のグループ展があった。
それを見に自転車で出かけた帰りに、小さめのスケッチブックを開いた。
歩道橋の上から見る多摩川の光る水面。
翌日からやっと梅雨空になるようで、川風が堤を吹き抜けている。
歩道橋の下を野球のユニフォームを着た子どもたちが自転車で駆け抜けてゆく。
「おっ。ここの風景、きれい!」と口ぐちにさけんでいる。
今年の夏は酷暑になると予報が出ているけれど、
書き割りにも似た逆光のシルエットの風景は、まだ涼しい。
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Tag:Paysage 風景画 Landscape

取水所-4
(油彩、F6)

古いキャンバスを出してきて、もう一度描き直してみたけれど、
たいして変わり映えしていない。
古い画の下地がおもしろい感じになったけれど、
偶然にできたかたちには意味がないので塗りつぶした。
けっきょく前とあまり変わらない画になってしまった。

先日TVでタワーリングインフェルノという古い映画を再見した。
これは中学生の時、女の子と初めて見に行った映画だ。
映画館は確かに大阪の真ん中だったはずだけれど、妙なことが印象に残っている。
館内ロビーを出たところにあった自販機のような機械で、
コインを入れると二つあいたのぞき穴から中をみる、のぞきからくりだった。
40年ほど前とはいえ、1974年頃の都会は大阪の真ん中のこと、
こんな縁日の夜店のようなあやしげなものがあったことがとても不思議だ。
女の子といったことよりも、そちらのほうがよく覚えている。

映画自体は災害スペクタクルの走りとなった、
当時はお金のかかった超大作として話題沸騰した作品だ。
出演者はスティーブ・マックイーン、ポール・ニューマン、ウィリアム・ホールデン、
フェイ・ダナウェイ、ジェニファー・ジョーンズ、ロバート・ボーン
それにフレッド・アステアという豪華さである。
この頃はW・ホールデンでさえ、まだギラギラしていた。
子供ながら、老境になってはじめて「真実」を知った詐欺師のアステアが
その「真実」を教えてくれたJ・ジョーンズ演じる未亡人を
避難時に傾いたエレベータから墜死して失う悲運が悲しかった。
今見れば大がかりなセットも所詮はセットで、
過去の大作ほど後年見劣りがしてしまうのは致し方のないところだ。
映画の台詞にこんなのがある。
「消防車のはしごが届くのは7階までだ、
 なのにこんな高層ビルを建てるなんてばかげている。」
そういう台詞にうなずいて見ていたものだけれど、
それは40年後の今も実は全く変わっていない。
高層ビルでの火災が少ないだけで、
ひとたび災害が起これば40年前の警告が何も解決されていないことに気づく。
はしごや水が届く高さはそれほど変わらないのに、
ビルの高さは当時の3倍にも4倍にも伸びているのである。

Tag:Landscape Paysage 風景画

取水所-3
(油彩、F6)

よく晴れた日の夕暮れ時、風の方向が入れ替わり、凪いだ時間帯になる。
ペンと色鉛筆で描いているうち、これは油彩の方がここの空気感が出るように思った。
週末天気が崩れ、自宅でペン画から油彩に移してみることにした。
ペン画の印象をそのままに油彩へ写したところで、
このまま描き進めていいかどうか、迷う。

右の堰の上に腰掛け、終日水面を見つめている職員の人がいた。
目の前の水際に差した木の枝を時間をおいて見にくる。
どうも水位を調べているようだ。
仕事をしているとはいえ、堰をぬける水の流れの音、
ときおり跳ねる魚のしぶき、
水面を滑るように滑空するシラサギや鵜の飛翔。
時間が止まったような風景というより空間を見つめて過ごす勤務がうらやましい。
日除けと辛抱が必要とはいえ、川面を終日目視するというアナログな仕事が
都の公の仕事として存在するというのが面白い。

Tag:Landscape Paysage 風景画

川沿いの町
(ペンとインク)

主に近所を描いているけれど、たまに連休などがあると遠くへ行ったりもする。
遠くといえば、ときどきは海外の街を描いてみたい衝動にもかられる。
仕事場の相棒とかつて出かけた海外への旅のことを振り返り、
「今だったらとても行けなかったですよねー」と言っていたが、
本当にそうだったろうか。
よその国を見たい、まだ知らない国を見て見たいという若い好奇心が
それでも警戒心にまさっていたような気がする。
しかしもう海外へ出てゆく機会はないだろうなぁと思う。
もし今行けたとしたら、絵を描く以外に最近ペンで描いているので、
古い文房具屋に入って知らないメーカーのインクを漁ってみたい。
その土地をその土地で買ったインクでデッサンしてみたい。
そんなことを想像するのもなかなか楽しい。
多摩川調布取水所
(ガッシュ)

多摩川は先月、鮎の遡上シーズンを迎えた。
6月に入っても調布取水所のあたりにはたくさん泳いでいるらしく、
シラサギが河床をつついている様子があちらこちらで見える。
浅瀬でサギの接近に驚く鮎の群れが、さざ波のように震えている。
鮎をつつく様子を近くで見ていると、なるほどうまそうだ。
今まで川魚はニジマス、イワナ、ワカサギ、ヤマメ、鯉などを食べたことがある。
イワナもマスも美味いが、ヤマメが一番だった。
イワナは刺身や焼き以外にも骨酒、骨せんべいにできて、残すところがない。
信州の山の中で釣って食べた味は忘れられない。

1970年頃までは、この画の右側に少し見えている堰(調布取水所)は
都民の飲用の取水所として現役だったようだ。
川の汚染がひどくなって以後、取水は工業用水として使われている。
その後川の水は浄化が進み、今では百万尾単位で鮎が遡上するほどになった。
画を描いている時にも、堰の向こうでは若者が水遊び、というより泳いでいる。
遊泳禁止のはずだけれど、そのあたりは流れが遅く、浅い。

右に見える堰は昭和10年に作られたそうだけれど、
画の白い取水所の建物も同じ頃作られたのだろうか。
通りかかるといつも西日を受けて、
真っ白、あるいはオレンジの影を水面に落している。
この日、イーゼルを立てた頃にはやや風があり、
水面にちりめんじわが広がって白くなっていた。
その水面わずかの上空を鵜が川上に向かって飛んでいった。
日暮れに近づくに従って風は止み、水面には建物の鏡像が現れた。

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