東京湾をゆく船-45

東京湾をゆく船-44(オイルパステル)

今日も朝から暑い。夏だから。
朝は運動不足解消のため、
自宅から仕事場までおよそ3.5kmの道のりを歩いて通っている。
かれこれもう10年になる。
仕事場に着く頃には汗まみれになっているので、
服装は短パンにTシャツ。
機能性を優先してのスタイルだ。
しかし一日パソコンMacの前に座り、人に会うことの少ない仕事なので
その後もそのスタイルのまま過ごすことが多い。
一度、セガレの同級生のお母さんに朝見られて、
「失業者では」と疑われたことがある。
「毎日どこへ行ってらっしゃるんでしょう」
これで公園で座っていようものなら言い訳は言い訳にならない。
いい歳の男が平日の昼間にここのベンチに座っていたら、
まず見られるのは二通り。
カジュアルな格好なら失業者か不審者、
スーツを着ていた場合には「終わった人」と見られかねない。
男というのは本来くつろげる場所であるはずの公園で、
油断も休憩もできないのである。
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京湾をゆく船-42

日本チームのサッカーロシアW杯最後の試合は予想をふたたび裏切り、
過去最高の素晴らしい試合になった。
岡崎が、長谷部が、そしてたぶん香川や長友がいた日本チームを
W杯で見ることができるのもこれが最後だろう。
思えばスポーツ選手、とくにサッカーの選手寿命というのは短い。
鮮烈な代表初ゴールをした時の香川選手のデビュー風景がつい昨年のようだ。

20年ほど前まで日本は、W杯に出場すること自体が悲願だったのだから
それを思えば優勝候補のベルギーとの試合は隔世の感がある。
そのあと行われた他の国のチームの試合が下手に見えるほどで
この日本チームをそのまま冷凍保存できないものかと思ったりする。
世界の人たち、ポーランド戦のことはこれで忘れてもらえないだろうか。。
東京湾をゆく船-39(オイルパステル)

最近はめっきり少なくなった電話ボックス。
ついこないだまで、渋谷はハチ公前の広場の端に10個ものボックスが並び、
さらにその前を電話待ちの人の列が長く続いていたことが夢のようだ。
今もNTTは少なくなったとはいえ電話ボックスの維持と管理を義務づけられている。
使っている人など最近見たことがない。
月に一度くらい、10円玉を回収に行って、いくら入っているのだろう。
回収の人の手間賃はおそらくまる赤字だ。

赤瀬川原平さんが、
生まれて初めて電話ボックスに入ったときのことを書いている。
初めて電話ボックスに入ったとき、
ドアを閉めると密室となって、外の音がびしっと遮断されてかなり緊張を強いられた、
とあるのはなんだかよくわかる。
そのとき、終戦直後に飛行場の隅っこに放置してあった
戦闘機のコックピットに入ったときのことを思いだしたそうだ。
そのくだりを読んだとき、乗ったこともない「戦闘機のコックピット」の
中の臭いまでがまざまざと思い浮かんできた。
機械といっても目の前には電話が一台あるだけだけれど、
それは国の管轄する鉄の塊の機械である。
ちょっとやそっとでは壊れそうにない、タフな構造に見える。
しかも大人の臭いがする。
それはつまりたばこの煙の臭いだったのだろう。
目の前にあるその機械と一人で対峙すると、子どもにはどきどきものだ。
その上には警察へ直結する赤い小さな電話機が乗っている。
こちらのメカはさらにどきどきさせる。
この箱についた小さなダイヤルのメタリック感は、
警官の持っている手錠や銃を思い起こさせたものだ。

ところで逆に電話ボックスを思い浮かべると、私は中古車の室内を思い出す。
中古車といっても売りに出ているようなきれいな車ではない。
小学校の頃、町内の行き止まりになっている道路の奥には、
よく動かなくなった廃車が放置してあった。
なぜか、豆自動車と呼んでいたマツダのR360クーペや
三菱のミニカのバンなんかが多かった。
余談だけれど、米屋のオヤジさんって、このミニカみたいな顔をしていた。
三菱ミニカトラック

今見てもハンドルを握る人の顔がそのまま車になったようなフロントグリルだ。
長く放置してあると、子どもたちがいろいろいじった末に窓とドアをこじ開け
ハンドルを握って遊び倒す。
こうなるとそのうち、タイヤがなくなる。
古い車の中は、たばこ臭さと内装のビニールの香りの混じった独特の臭いがある。
今もあるプラスチック張りの電話ボックスではなくベージュに赤の帽子をかぶり、
手をかける穴のあいた古いタイプのは、それと同じ臭いがした。

赤瀨川さんはさらに電話ボックスの密室性に対し
その後増えたむき出しの公衆電話を、飲み屋のカウンターのようだという。
ちょっと一杯引っかけていく感じで、コインを入れてひと言二言。
酒と電話は似ているという。
するとケータイは酒瓶をポケットに入れて持ち歩いているようなもので、
これではアル中になってしまう。
ケータイ依存症だ。
うまいこと言っている。
東京湾をゆく船-38(オイルパステル)

ほんとうに辞めないな、あの人たちは。
10年前だったら10回くらい辞めているはずの彼らだ。
彼らは世間が忘れやすいことを、誰よりもよく知っている。
その通り、忘れるのだ。
これからの外国とのやりとりに、災害の現場に
彼らを日本の代表として送り出していいのだろうか。
そこからはじめないとならないはずだと思うけれど、
「行くなら」「言うなら、これはちゃんと言って欲しい」と、
なし崩し的に放免するから「まだいける」と思う。
このまま憲法も東京五輪も「いける」と思っているにちがいない。
忘れ、なし崩す世間の罪こそ重い。
東京湾をゆく船-37(オイルパステル)


日曜美術館、柚木沙弥郎さんの番組はよかった。
この番組は芸術を扱っているので重くなりがちで、
それをフォローする意味でしとやかな女性キャスターと
知的なイメージを持つ男性有名人を司会というか、アシスタントに起用する。
あまり成功した試しはないと思うけれど、
番組が重くなるかどうかは、とりあげた作家とその作品次第。
自分の趣味にあふれた室内環境の中で、尽きぬ創作アイデアを具体化する日々。
98歳の一人暮らしは今も日々楽しそうだ。
あんなおじいさんになれたらいいなと、これはかなわぬ希望だ。

勉強不足でまだ作家の名前も知らなかった頃、
代官山にあったユトレヒトという変わった本屋で作品集を手に取り、
その絵が一目で気に入って画集を買ったのが今も手元にある。
「旅の歓び」は作家が出かけた旅先の風景を描いたもので、
染色家らしく、そのまますぐ下絵にできそうなタッチだ。
というか、ほとんどの画はスケッチから染めのような型を作って
そこに絵の具を置いているようだ。
こんな描き方もあるのかと、面白い。

旅の歓び-1

旅の歓び-3
旅の歓び-2

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