避難所閉鎖

昨年、震災前に注文していたワイエスの画集「カーナー農場」は、震災後に届いた。
楽しみにしていた本が届いたものの開く気になれず、
そのとき、願掛けよろしく
「避難所を最後のひとりが出た日にこの本を開こうと思う。」と、ここに書いたものだった。

そのニュースが今日届いた。
そのとき思ったように、やはり自分は何もできなかったし、国のもたつき具合は何よりひどかった。
一年がたっても被災地が力強く復興に向かっているというニュースは、
あまり伝わってこない気がする。
ネガティブな物事のうわべの表現を変えることによって、
ソフトなイメージにすり替えるやり方は、この国全体の最も得意とすることだ。
原発事故は今もギリギリの綱渡りで現状を維持してるだけなのであり、
震災前に大きな問題だったワーキングプアも少しも解決していないはずだ。
「節電しています」の貼り紙は店や企業のイメージを挙げるツールになり、
放射能の除染はビジネスになった。
節電した方がいいのは子どもだってわかっている。
それをわざわざ標語にして貼り紙をするというのは、
戦時中の「欲しがりません、勝つまでは」とどこが違うのか。
作った方も貼った方も、よかれと思って走り回ったが、
何かに協力して踊らされてしまうのは、よくあることだ。
おかしな事を挙げればきりがない。

もうすぐ震災後一年がたとうとする今も、上のニュースを聞いて手をたたくよりは、
むしろ手を合わせるほうがふさわしいという気がする。
気分は少しも上向きにならないが、今夜はワイエスの画集を開いてみようと思う。
息をするように画を描き続けた画家、ワイエス。
ここに描かれた農場のような豊かな自然が東北にも広く存在しているが、
過去形になってしまった多くの土地もある。
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