埠頭(横浜)(ペン、色鉛筆)

セガレの部活最後の試合をかけて、上位リーグへとかろうじてつなぎ、
少し遠い競技場へと応援に出かけた。
しかし昨日まで試験だった練習不足ははた目にも明らかで、
善戦空しくこれが中学最後の試合になった。
どの世界にもいずれは「引退」の二文字がつきまとうが
スポーツの世界では高校受験にともなう中学の部活終了が
人生最初の引退ではないだろうか。
はずしたキャプテンマークを握りしめ、
セガレはみんなの輪からひとり離れて座り込んでいる。

帰りに乗換駅から反対方向の横浜へ向かい、国吉康雄展を見に行った。
スプーン一杯の海外情報もない時代、セガレの今の年齢に近い17歳を前に
たったひとりでアメリカへ渡る心境とはどんなだったのだろう。
画家は名をなした後も世界大戦を挟み、アメリカと日本の二国の間で翻弄された。
その間の心境の複雑さは画面に隠しようもないけれど、
そんなことに関係なく、画はすばらしい。
私には当時欧州で活躍していたフジタよりもずっと大きく、いい画に思える。

展覧会場を出て海の方へ歩き出した。
巨大な商業ビルが林立する大都市横浜も、
少し裏へ回れば草が青々と茂る広大な空き地が広がっている。
バブルの頃に開館した横浜美術館もその途中に見える。
当時から周辺の景色はあまり変わっておらず、
あの頃の開発はどうやらこのあたりで立ち往生しているようだ。
そこを抜けて15分ほど歩くと、
京浜工業地帯の端に位置するくすんだ港風景に行き当たる。
平日の朝はここにも大きな貨物船が係留されているのだろうか。
道路を挟んで建つ真新しい高層マンション群とその風景とは
どうも違和感がある。
イベント会場ではない、昔の赤レンガの倉庫街なんかがやはりよく似合っているようだ。
今から25年前、この港のどこかから初めて日本を出た。
国吉に比べれば気楽なものだったが、それが本当にいいのかどうかはわからない。
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