荒れる雨音、風の音の懐かしさ

 21, 2011 18:24
窓外の嵐 仕事場の窓から、SM油彩

外は大変な雨で、
台風といえばまだ傷跡癒えない14号の生々しい記憶が鮮明だが
自然というのは容赦がない。
この瞬間にも生死を分ける行動をされている方には本当に恐縮だけれど
東京では滅多に聞かない窓をたたく雨音、軒を裂く風の音、
この音を聞くと、記憶は懐かしい十数年前の山小屋へと飛ぶ。

・・・・
その日、北アルプスの白馬から針ノ木岳に向かって一人で縦走していた私は
朝出発した冷池山荘から2~3時間ほどの新越山荘で休憩をとっていた。
一日の行程の中間地点に位置する新越山荘は、休憩するにはいいが
泊まるにはもったいない場所にあり、宿泊客は少ない。
私ももちろんそこに泊まるつもりはなく、
少し休ませてもらったらその日の目的地の針ノ木岳へ向かうはずだったが
10分もしないうちに強い雨が降り出した。
時間を追うにつれ雨脚は強くなり止みそうにない。
何時間も窓の外を眺めて時間をつぶす私を見て
気の毒に思った小屋のスタッフがコーヒーをサービスでいれてくれた。
これはありがたかった。
外が荒れる天候の中、親切なスタッフの気持ちにほだされた私は
もうその時点でここに足止めになろうと決めていたが、
まさかその夜の客が私だけになるとは思わなかった。

暴風雨の吹きすさぶ稜線上の小屋で
10人部屋の隅にひとりで眠るのはちょっと落ち着かなかったがスタッフの
「もし雨漏りがしたら何時でもすぐに言ってきてください」との頼もしい言葉に
「さすが小屋の山男」と安心したものだった。
この暴風の中をものともせず、ハンマー片手に雨の中へ出て行くところを想像した。

夜半、猛烈な風の音に目を覚ますと、ひとつの窓のすき間から
びゅーびゅーと雨が吹き込んでいるのだった。
「畳がぬれてしまう」と、さっそく頼れるスタッフへ伝えに行った。
が、返ってきた言葉は「あそこは仕方ないんですよ」
ちょっと納得いかないながらも部屋に戻り、ふたたび同じ布団にもぐり込んだ。
雨風はいろんな方向へ向きを変えながら、明け方まで続いていたようだった。



私が強い雨風の音を聞くと思い出すのは、まずこの夜のことである。
下は山の版画家、畦地梅太郎が若い山男を画題にした作品で、
私の仕事場に大切に飾っているオリジナルの版画である。

若者
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Tag:山歩き

COMMENT 2

Wed
2011.09.21
19:02

タブロウ #3h4yWL0g

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のまどさん、こんばんは。
心配していただいて、ありがとうございます。

今日は3時頃には仕事が片付き、相棒は遅い休暇中なので
一人でこんなのんきなことを書いていました。
まだ奈良にいたときも友人と「一度は台風の時に室戸岬へ行ってみよう」
などと言っていましたが、災害の少ないところに育ち、住んでいるから
こんなことが言えるのでしょうね。


さて、少し雨風が弱まったので、今日はこれで閉店にします。
ひょっとしたら(台風の)目に入ったのかもしれません。

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Wed
2011.09.21
18:54

のまど #-

URL

こちらでも台風のニュースを関心を持って見ています。

タブロウさんの仕事場、なんだか渋いですね~。
ジャズが聴こえて来そう^^。

でも今年は本当に天災が多い年ですね。

私も四国育ちで瀬戸内側だったので高知程ではないですが、台風は凄かったです。

度々、床下浸水になりその度に池の鯉が何処かへ行ってしました。
一度はウチの敷地内に少し離れた家の屋根がそのままの形で飛んで来て落ちました。
その時は我家に直撃してたら大変でした。

今住んでるボージョレも標高は500mですが稜線に町が形成されてるので、嵐になると少し山岳の天候めいた感じになります。
冬は霧氷に包まれ幻想的です。

今はそんな事を言ってられませんね、今日は帰宅できますか?
新幹線も停まってるみたいですが、、。

災害時は山登りの装備が役に立ちますね。
十分お気を付けてお過ごし下さい。

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