船旅の記憶 ~横浜、あかね雲(F4)~

 20, 2012 00:18
あかね雲

描くものがなかなか決まらず、
やっと船を描きはじめたら海外から船舶の重大事故のニュースが伝わってきた。

信じられない無責任な人災とも言っていい事故で
犠牲者は増えつつあるが、天気や場所によってははるかに深刻な事故になっていた。
4000人以上の乗客に対し、当初「救命ボートに乗れるのは50人」とのアナウンスがあったそうだ。
言われたときの人々の心境はどんなだっただろう。
近くの島の岸まで300m、地中海とはいえ冬の夜の海に飛び込んで誰もが泳ぎ切れるものではない。
実際に10才と12才の子どもを連れて飛び込んだフランス人親子がいたらしい。
無事に岸まで泳ぎ着けただろうか。
報道を受けての日本国内の反応は
船長、船員の行動は日本人なら考えられないこと、というがはたしてそうだろうか。
船員が乗客より先に逃げることは無いだろうけど、
沈みつつある船内では「船は沈まないから安心してください」と船員は言って留めるばかりで
逃げるための誘導はしなかったと乗客はいう。
「直ちに健康に被害は出ないので・・」というアナウンスを繰り返していたのとどこが違うのか。
起こったことの上面だけを比較してこちらは大丈夫と安心していたら
無責任の本質を見ないことになる。
我が国日本の場合ははるかに深刻で、
無責任な船長と、誘導ができず、ボートの降ろし方も知らない船員は国にあたる。
・・・・

話は変わって、船旅、列車の旅、私はどちらも好きだ。
船旅と言えば北海道、宮崎、奄美~トカラ列島、
海外では旧ソ連ナホトカへの旅が思い出される。
どれもせいぜい3日ほどの移動の交通手段であり、豪華客船の旅とはほど遠い。
トカラ、ナホトカ行はひどい船酔いに悩まされた。
船酔いはほぼ1日乗っていれば解消されるのだけれど、
短い船旅であれば慣れて食事もとれる頃には港に着いてしまう。

初めての海外への旅ではナホトカからモスクワ、
そこからハンガリーを経由して西側ギリシアへ抜ける予定だった。
当時はソ連だったので、予定は個人で勝手に変更できるものではなく、
駅に着けばロシア人職員が二人迎えにきて、出発の時にはまた送り出しにくる。
体の良い監視であった。
入国前に申請、許可された旅行計画は変更不可の絶対であった、にもかかわらず、
私が乗らされた出国列車はハンガリーではなく別の国、ブルガリアの首都ソフィアに着いた。
ビザも通貨も持っていない私はそれでも市内の骨董市を覗きながら時間をつぶして
夜にはふたたびギリシア行きの列車にもぐり込んでいた。
ハンガリー経由の切符でどうしてその列車に乗れたのか、今も不思議だ。
さらにギリシアに抜けるには抜けたが、
列車は朝方に町外れに止まったきり駅に着く様子がない。
しびれを切らした乗客は、とうとう荷物を担いで線路沿いを歩き始めた。
列車を降りて先頭を見ると、機関車は客車を切り離してどこかへ走り去っていた。
私も人々の後列に連なってしばらく歩いてゆくと、
1kmほど先にテッサロニキの駅があった。
わずかな距離を残して機関車はどこへ行ってしまったのだろうか。

そのあとにイタリア、ブリンディッシ行きの夜間連絡船に乗った。
ユーレイルパスの乗客は基本的に甲板のみの乗船で、船内に入ることはできない。
しかし夏とはいえ夜間の甲板上は寒く、とても眠れるものではない。
シュラフに入って律儀に甲板で夜を明かす旅行者もいたが
たいがいは船内通路のどこかにスペースを見つけて眠った。
あそこでもし同じような事故が起こったらどうなっただろう。
たとえ英語のアナウンスでも、私には何を言っているかわからなかっただろう。
誘導を受けるまでもなく、
きっと救命ボートの乗船を待つ最後尾におとなしく並んでいたと思う。
ボートには結局乗れずいよいよとなった時は、
持ち込んだペットボトルを空にして抱え、海に飛び込む。
あとは一心に岸側に向かって水をかき続ける。
はたして助かるだろうか。。

そんなことをリアルに想像してしまう事故のニュースだった。
ちなみに上の画の船は、実際には動くことのない山下公園の氷川丸だ。
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Tag:風景画 Landscape Paysage

COMMENT 4

Mon
2012.01.23
15:18

タブロウ #3h4yWL0g

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Re: 船旅を思い出して ~横浜、あかね雲(F4)~

アイビーさん、こんにちは。

飛び込んだ家族はその後の消息が出ていないのできっと無事だったのだと思います。
ほんとうに自分と家族の身に起きたら、と思ってしまいます。
今朝のニュースでは、船職員が事故時に客室に戻るようにアナウンスしていましたね。
日本人なら戻っていた人もかなりいたのではないでしょうか。
ちょっとぞっとする話しです。

新しいサイト、画像も大きくて見やすいですね。
exciteはテンプレートのデザインがシンプルできれいなのが多かった気がします。
リンクはもちろんどうぞ。こちらのリンクも修正しました。
制作の再開、がんばってください。

Edit | Reply | 
Mon
2012.01.23
14:55

タブロウ #3h4yWL0g

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Re: 船旅を思い出して ~横浜、あかね雲(F4)~

野窓さん、こんにちは。

晩秋から冬にかけては夕焼け空が本当にきれいですよね。
今回シダネルの描く時間帯を自分でも画にしてみました。
もう少しこの時間帯で他の風景を描いてみたいと思っているんですが
週末子どもとサッカーをやりながらだましだまし来た腰痛がついに足にきて現在、
とうとう接骨院に通っています。
一日中PCの前に座っての職業病であるに加え、
帰宅後には前屈みでイーゼルに向かっていたのがたたったようです。
描く姿勢を見直さなければなりません。
良い先生のようなので、これを機会にすっきりと治療して
仕事と制作に集中したいと思っています。

Edit | Reply | 
Mon
2012.01.23
13:09

アイビー #2toZYr9Q

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Re: 船旅を思い出して ~横浜、あかね雲(F4)~

一緒に飛び込んだ親子も居たのですか・・・。
すごく胸が痛いです。
助かっていると良いのですが。

この船舶事故も福島原発事故も
結局人災ですよね。
被害にあった方々が本当にお気の毒です・・・。


タブロウさんの風景画が特に好きな私ですが、
この絵も好きだなあ・・・。
いつまでも眺めていたいような。
心がほっとするような。


それから、いつの間にかリンクして頂いていたのですね。
すみません、気が付かなくて(><)
そのブログ、実は閉じようと思っています。
新たにエキサイトでブログ始めましたので
そちらにタブロウさんのブログをリンクさせて頂いて宜しいですか?
(コメントのURL欄から新しいブログに飛べると思います)

Edit | Reply | 
Mon
2012.01.23
02:44

野窓 #-

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Re: 船旅を思い出して ~横浜、あかね雲(F4)~

何故だか懐かしくなる絵ですね。

レトロな感じを受けるからでしょうか。
私もあかね色に雲が染まる時間帯が好きです。

雲が龍に見えます、良い年になる予兆でしょうか。。

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