若い日の水彩画

 18, 2012 22:33
研究所卒業生のTさんから丁寧な手紙と先生に関する資料をいただき、
故竹中先生がBlogをやっておられたことがわかった。
先生にメールでお便りすると、返事に慣れないキーボードを使わせることになる、
そう思ってあえて便せんにペン書きしたのだが、杞憂だった、というか誤りだった。
結果として手紙する回数が減ってしまったことが悔やまれる。
メールならもっと頻繁に先生と会話ができたはずだ。
Blog上には我々が受けた講義内容がほぼ再録されており、
同じ内容(=伝えたい大事なこと)が繰り返し出てくる。
卒業生にとってはいずれもかつて知ったる内容ばかりだ。
更新が毎週の時もあるが、半年の時間が過ぎていることもある。
70歳になる完全アナログ世代の人が、どうしてあれほどの文量をキーで打てたのか。。
自らの言葉があり、伝えたい事があふれるほどあったのだろう。
しかし行間ににじみ出ているのは、
美術を志す多くの人とコミュニケーションをとりたい、
という意思だったように感じる。

Blog、Twitter、Facebook、ホームページ、
いずれこれらは世界の人口を超える数になるだろう。
いつも思うのだが、ブログ主の亡き後、
これらのサイトは削除されることはあるのだろうか。
先生亡き後もHPは、無人の研究所に生徒を募集し続けている。
Blogは今も生きているように新たなアクセス者に言葉をかけ続けている。
筆者を偲ぶ人にとってはいつまでも残ることを望むかもしれないが
筆者自身はどうなのだろうか。
私のBlogもまた同じことが言える。


先生のBlogをざっと見ていて、ある画に目がとまった。
その参考画像は、かつて私の描いたつたない水彩画だった。

研究所時代の着彩描写_1

今まですっかり忘れていたこの透明水彩による課題作品をあわせると、
研究所には少なくとも3枚残してきたことになる。
「つたない」と書いたが、今自分はこれ程のレベルで描けるだろうか。
先生の指導では、30年のブランクがあったとしても、
いついかなる時でも目の前にあるものは「理解さえすればいつでも描ける」ということだった。

画を見ていて、忘れていた記憶が徐々に甦ってきた。
実際の野菜は光が当たっている部分も陰の部分も、色が濁っているところはどこにもない。
陰の部分の明度を落とし、しかも彩度を落とさないようにするのに、
とくにピーマンの陰の濃いグリーンに苦心していた。
長ネギの白い部分にほんのりと赤みがさした部分がある。
これだけのモチーフに大きく6つの色彩群があって、それぞれの質感、立体感が異なっている。
構成はともかく、当時の私はなかなか良い素材を選んだようだ。
記憶が一気に25年前に飛び、これを見ている間、
私の気持ちは学生時代に戻っていた。


先生の文章に印象的なものがあった。
今の世は平和だから、30歳近くになってさえも「自分探し」をしている人が多い。
若い日には、何かに一生懸命に打ち込む期間が必要だ。
自分を探すにはその経験がなにより大事だ。
それは美術でなくとも良いのだ、と。

つまり、アイデンティティを築くには、
ぼんやりと周囲を眺めているだけでは見つからない、
人生の新たなドアを開くことはできないぞ、ということだろうと思う。
「君らに今一番大事なのは、“ひたむきさ”なんだよ」
学生だった私たちに、そう言っておられたことを思い出す。
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Tag:水彩画 静物

COMMENT 14

Thu
2015.03.05
05:07

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Wed
2015.03.04
22:58

タブロウ #3h4yWL0g

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chayaさま。
はじめまして。
本文にも書きましたが、今はコメントなどを管理する人がいないので、
無用な書き込みをなくすよう、ここにURLは書かないようにしています。
もしよければ、メルアドをお知らせいただければ、私の方からお知らせします。
こちらのコメント欄に、鍵コメで非表示にしていただければ、外から見えないようにできます。
(「管理人にのみ表示」にチェックです)
よろしくお願いします。

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Wed
2015.03.04
20:54

chaya #-

URL

はじめまして。

突然申し訳ありません。平成16年から19年まで総美の天王寺校及びネット講習を受講しておりました、chayaと申します。公立大学には受からず、現役で私学に入りましたが、好ましい進路が定まらないまま卒業し、現在東京芸大日本画専攻を目標に、ほぼ総美の教科書だけを頼りに独学で勉強しています。竹中先生の訃報や、OBの方々の活動は約1年前にネットで知り、それらに目を通すことで間接的に励みにしておりましたが、自身が未だ結果らしい結果を出せていないこともあり、いままで直接お話をできずにいました。この一年みっちりデッサンを学習したつもりでしたが、一次試験にて敗退してしまい、浪人するにあたって認識を新たにする必要に迫られ、コメントさせて頂きました。もしよろしければ、竹中先生のblogアドレスや、その他総美の教材や参考作品に関してご存知でしたら、教えて頂けないでしょうか。在籍当時に色々教えて頂いたはずなのですが、当時の私の幼さや人見知りな性格もあり、なかなか竹中先生本人を前にして質問を出来なかったので、教科書を何度読み直しても曖昧さが抜けきらない部分があり、今の自分の作品を完全に客観的に分析する術がないのです。長文で失礼しました。

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Thu
2012.10.04
00:10

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Thu
2012.09.13
19:37

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Sun
2012.04.22
21:47

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Sun
2012.04.22
13:05

タブロウ #3h4yWL0g

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Re: 若い日の水彩画

はじめまして。
心のこもったコメントをいただき、ありがとうございました。
私の書いた文章が、少しお役に立ったと知ったこと、
平成生まれのあなたに、しかもネットの通信教育でそれほど尊敬を集めていたことに
先輩の私としてもとても嬉しく思いました。
ところで、いただいたコメントは、こちらでも公開に変更できないようです。
もう一度同じ文章をいただいて、今度は公開の設定にしていただくのが最も確実かと思います。

先生のBlogはまだ見ることができます。
ただ、管理人である先生はすでにいらっしゃらないので、コメントなどの管理ができません。
今現在はほとんどアクセスはないようですが、ここでURLをのせてしまって
ひょっとして心ないコメントが書き込まれるかもしれないのを避けたいと思っています。
もしよろしければ、非公開コメントにメールのアドレスをいただけないでしょうか。
私の方から先生のBlogのアドレスをお知らせしたいと思います。
お手数おかけするようですが、ご理解ください。

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Sun
2012.04.22
10:12

saibu -haba-iro no kin #O3tlYBgI

URL

すいません、先ほどの僕のコメントを非公開に設定してしまったのですが、公開になおしていただいてもかまいません。
お手数で申し訳無いのですが、公開に直していただきたいと思います。
自分では何故か設定を直せないのです。
すいません。

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Sun
2012.04.22
01:02

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Fri
2012.04.13
02:01

タブロウ #3h4yWL0g

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Re: 若い日の水彩画

Vita'smumさん、はじめまして。
師と生徒というのは、生徒の側からすれば親みたいなもので
巣立った後は後ろを顧みないのが普通なのであり、
それでも先生に対する感謝の気持ちを忘れないのは皆同じだと思います。
教え子がその後、いい人生を歩いてくれるのが何よりだったのではないでしょうか。
そういうことも、私も社会に出て後輩ができ、人を雇ってよくわかるようになりました。
Vita'smumさんは仲のいいご家族と幸せな人生を歩んでおられるようですね。
これからもどうぞ、よき人生を送ってください。。
ご家族の健康を祈念しています。

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Thu
2012.04.12
09:27

Vita'smum #-

URL

Re: 若い日の水彩画

先月知人から竹中先生の訃報を聞きました。
私は20年ほど前、梅田教室の生徒でした
芸大に進んでからは週末など教室にてアルバイトとして
お世話になりました。
総美では「人・モノ・事を徹底的に視る目」を教わりました。
卒業後モノづくりに関わる仕事をしていますが、
評価頂いた仕事の時には常に竹中先生を思い出し感謝していました。
にも関わらず、卒業後一度も報告出来ず知人から訃報を聞き
後悔の念にかられました。
タブロウさんのブログを拝見し気持ちが少し落ち着きました。
ありがとうございます。

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Mon
2012.02.20
00:17

タブロウ #3h4yWL0g

URL

Re: 若い日の水彩画

のまどさん、こんばんは。

私はこの年になってふたたび絵筆を執ろうと思い立ちましたが、
まるで昨年まで普通に描いていたように始めることができたのは、
若い日に竹中先生の元で学んだおかげです。
私が20歳を過ぎてから美術の世界に入った時、
技術でも支えにしていかないと、どこにも進んでいけない気がしたんですね。
結果的にはものを見るトレーニングを積み重ねたおかげで、
後年それが何事においてもずいぶん役にも立ちました。

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Sun
2012.02.19
22:21

のまど #-

URL

Re: 若い日の水彩画

タブロウさんは若い時にしっかりと勉強をされたんですね。
私もここまでデッサンの勉強をした事がないです。

その事は現在のお仕事と物事を視る目の基礎になってると感じます。


亡くなった方のブログ程、切ないモノは無いですね。
震災の後も同じ事が沢山あったそうですが、世の諸行無常を感じます。

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Sun
2012.02.19
10:20

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