ガチャポン石膏像

 25, 2010 13:03
芸大受験の石膏デッサン

関西ではガチャガチャ、東京ではガシャポンとかガチャポンといわれているもの、
海洋堂がプロデュースして精巧なミニチュア・フィギュアが出て以来、
森羅万象あらゆるものがモチーフになってきた。
最近ではアート系のものも多く、エッシャーなんかは2Dの絵を3Dに解釈して
見えないものを視覚化した、なかなかできの良いものもある。
写真の石膏像シリーズは一見オーソドックスなフィギュアだが
「芸大受験の石膏デッサン入門」という、経験者にとってはややほろ苦いネーミングによって
つい手が出てしまう少々やっかいな大人のおもちゃである。
しかし石膏デッサン経験者が見ると実は
「やや・・・!」と目を見張るクォリティに仕上がっている。
・・・・

実はこのフィギュア、私の友人がプロデュースしたものだ。
自身も芸大卒の彼は制作にあたって、現役の彫刻科の芸大生を10人近く集め、
合評制によって形の整合性を徹底的にチェックを繰り返して
シリーズ全10種(大理石バージョンも入れるとその倍)を完成した。
大学内で作業が出来なかったため、作業は某予備校の石膏室で行われた。
書店やネットで多くの石膏デッサン制作例を見ることが出来るが
受験予備校はもちろん、大学生のを見ても、ほとんどのデッサンは形が狂っている。
それをこの大きさで(8cm未満)、立体で正確に写すのは容易ではない。
締め切りを過ぎても完成しない、仲間のOKがでない、「ここが違っている」
最後は現場に寝泊まりしながら彼らの「プライドに賭けて」完成させたものだ。
ここまでして作り上げたものが、製品になった時には形にややひずみが出る。
製造時に時間をかけて樹脂を冷却すればひずみは出ないのだが
そうすると生産性が落ちてコストが上がってしまうのだ。
ヘルメスなど、やややせて見えるのはそのためかもしれない。
しかし、それを割り引かなくても像のフォルムはかなり正確だ。
私は大阪でしか石膏像を描いたことがなかったのでよくわからないが
友人たちはよく「東京の石膏像は質が高い」と言っていた。
関西と東京では(おそらく)石膏像もディテールが違っていたのだろう。
今はどうだろうか。
その友人と久しぶりに会った時、このフィギュアのことはすでに知っていて
「あれはかなり正確ですよ」とうなっていた。

このわずか8センチにも満たない小さな10体の石膏像シリーズは
機械で縮小製造されたものではなく、彫刻科の学生の手から
プライドを賭けて原型制作された正確な写しである。
いずれ市場から消えていくかもしれないおもちゃに込められた
芸術家のタマゴたちの情熱を、一度は手にとって感じて欲しい。
ちなみに今はこのシリーズのネーミング、
単に「石膏デッサン入門」となっているらしい。
発売から4年近くがたっているが、
いまだ販売し続けている息の長い商品になっているようだ。

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