右へナラエ

 27, 2012 01:32
うちでは仕事の都合があって、日経新聞を購読している。
スポーツだろうと災害が起ころうと、まずはお金の動きや投資家の目から物事を見ようとする、
かなりノー天気なマスコミであり、そう思えば比較的気楽に読める新聞でもあった。
文化欄は意外に充実していて、熊谷守一や野見山暁治らも執筆した自伝、
「私の履歴書」なんかはたいへん読み応えのある連載だった。

週末の朝刊で、
「諸外国から日本の右傾化を懸念する声があるが
国内的にはそれはちょっと違っていて心配にはおよばないのだ」、
的なニュアンスで社説が書かれていた。
これを読んで「やっぱりそうだよな」とコーヒーをすすってスルーした人は多いのだろうか。
私は外国人と同じように今の日本の状況が非常に心配だけれども、
同時に心配性のうわごとであれば、本当にいいと思っている。
日経_右傾化

一夜明けて翌朝の朝刊では、
今回の選挙では再び政権を取って次期総理になるだろうと言われている人物が
「自衛隊を国軍にする」と宣言する記事が出ていて、目を疑った。
しかもそれについて新聞上では(日経とはいえ)懸念している様子が少しもなく、
こんな小さな扱いだ。
ここでは自衛隊がすでに軍隊かどうかの問題は置くとして、私の目にはかなり深刻な問題に映る。
他の本格派新聞での扱いはどうだったのだろうか。
さらに夕方のニュースでは、現与党の国家戦略担当からも負けじと同様の宣言が出てきた。
与党の青年将校という役回りの人物である。
(ちなみにこの人物は顔面の左右で人相がかなり違い、造形的にはかなりの悪相だと思う。)
どちらも憲法9条を改憲するとはっきり言っている。
超タカ派ぞろいの第三極と言われている面々は言わずもがな、
今度の選挙で主役となる、おそらくは大半の票を獲得しそうな3つのグループが
皆自衛隊を「国軍」にするのを「是」とする人物たちの集まりだ。
彼らは実際にはみな戦争未経験者なのに、なぜあんなに好戦的なのか。

前回の「尊厳の芸術」のときに書き落としたことがある。
アメリカ人とも日本人とも扱われなかった、日系12万人の人たちは
アメリカからは捕虜として扱われ、日本からは当時の首相東条英機をもって
「アメリカに住んでいる人は、アメリカに忠誠を尽くすべきだ」と斬って捨てられた。
彼らは「祖国に見捨てられた」と思ったのではないだろうか。
戦争への覚悟を軽く言う輩は同様の時期が訪れれば、同じ発言をするだろう。
歴史が下って「尊厳ある人びと」と言われれば「わが同朋」と、もてはやすこともするだろう。
彼らにとって、人の命は軽い。
今や海外にでて収入を得る日本企業、つまり日本人は多い。
彼らと前記の12万人の日系人とはまったく違うのだろうか。
中国で先日被害を受けた日本企業、日本人は、同じ国民であり、仲間のはずだ。
被害を受けたきっかけを作った元都知事の発言はあまりに無責任に思える。
しかし今に至るまで、この人物に責任を問う声は聞いたことがない

平和を望む人間には、選択肢があまりにも不足している。
仮に次の政権党が過半数をとれなくとも、この九条改憲に彼らが反対する理由はない。
三集団の合意で日本はきっと軍隊を持つことになるだろう。
これを右傾化と言わずしてなんなのだろうか。
心配しなくてよいのだろうか。
中国がデモする民衆を煽ることを日本は「ガス抜き」と言っているが
この日本は違うとどうして言えるのだろう。
思うに、人間は自分への自信が揺らぎ、逆に周囲が力をつけてきた状況の時には
右傾化の空気というのは精神的に非常に気持ちがいいのではないだろうか。
そうでないとこの状況は、私には理解ができない。
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