花の画家、ファンタン・ラトゥール

 01, 2010 16:27
ほんとうは風景、人物、裸婦なんかも描きたいのだけれど
いろいろ制約もあって今は静物ばかり描いている。
まったく。。若い時に描いていれば裸婦などいくらでも(?)描けたのに
今描こうと思えばアトリエ教室などに通って、お金を払わないと描けなくなってしまった。
ところで落ち葉は描くが不思議なことに花は一向描く気にならない。
でも花の絵を見るのは好きで、
ファンタン・ラトゥールルドンらの作品などがとても好きだ。もちろんゴッホも。
中でもファンタン・ラトゥールはすばらしい。
花ばかりでなく静物画、肖像画家としても第一級の腕を持っていた。
ファンタン・ラトゥール(静物)

19世紀まで、静物画というのは死んだもの、動かないものを描くというので
絵画の中では1ランク下の扱いを受けていたらしい。
静物画というと学校の教科書なんかで必ず見たシャルダンの「パイプとポット」
なんかが記憶に残っている。
シャルダン(静物、パイプとポット)

ちょっと驚いたのは、子供たち(小学3年、5年)の今の教科書には
美術史上の名作がほとんど掲載されていないことだ。
3年生用のには一枚もなかった。
全国の同じ歳の子供の作品は多数掲載されているが、
我々の世代が必ず見たブリューゲルの「バベルの塔」やゴッホの「ひまわり」
上記のシャルダンの静物画などはどれも載っていない。
だから子供は親が教えなければゴッホの名前さえ知らないのである。
名前だけ知っていても作品は本でも見たことがない。
これにはちょっとショックだった。
それで先日、サッカーのない日に次男を連れて、国立新美術館のゴッホ展へ連れて行った。
案の定半分くらいで飽きたのと疲れたのとで動けなくなってしまったが。。。

ところで静物画だとやはりシャルダンが有名だが、
花、果物の静物においてファンタン・ラトゥール(Henri Fantin-Latour 1836-1904.仏)は
それをしのいでいる。
ファンタン・ラトゥール(シャクヤク)

マネやゾラなどを囲む集団肖像画ばかりが有名で、資料的に引用されることが多い。
(これがまた作品自体の出来はイマイチで、むしろ一人の肖像画の方にいいものがある)
さらにマネにベルト・モリゾを紹介したことで歴史に名を残しそうな気の毒な画家だ。
ネットで検索すると、フラワーアレンジやガーデニングが好きなミドル女性に
ラトゥールの花の作品のファンが多く、こういうひとはいかにも
「パリが好き」「英国が好き」と言いそうだ。
当時の女流画家(といってもそれで食べているわけでない)が画家に教えを請うたところ
「弟子はとりませんので」と言って辞した。
女流画家は「私も画家ですので描き方はわかっています。教えてほしいのは花のアレンジです」
といったところから、彼の花の絵のもう一つの魅力が見えてくる。
ラトゥールのフラワーアレンジメントは現代にも通用する、
非常に洗練されていてかつ、他に例のなかったほど現代的でもあった。
無数の花の絵のなかでこの画家に日本で女性ファンが多いのもここに理由がある。
ファンタン・ラトゥール_花と果物

私がとくにすばらしいと思うのは、花びらの表現である。
ほかの画家の静物画において陶器の重さ、釉薬の透明感、金属の質感表現に優れたものは多いが
花びらの薄さをこれほど見事に描ききった作品群はあまり知らない。
とくにバラの花の美しさが有名で、実際のバラの名前に画家の名をつけたものさえあるくらいだ。
あと、ライティングも自然光で一方向からだと堅くなりがちなのに
どこかふわっとしていて柔らかい。


ファンタン・ラトゥールは多作ながら作品をまとめて見るのはちょっと難しい。
作品集がほとんどなく、洋書で1996年の比較的新しい本が169ページ程度の
図録レベルのペーパーバックにもかかわらAmazonで数万円、
アメリカでも200ドル以上している。
唯一日本で開催された1998年の回顧展も収録作品のほとんどが晩年の神話世界の作品で
分厚く紙質も良い図録だったのに物足りないものになっている。
宇都宮美術館にまだ残っているようだけど図録にしてはかなり高価で¥4,000ほどもする)
しかしがっかりするなかれ、ネットでは非常に充実したサイトがあり、
高価な作品集がなくても充分代用が可能だ。
Ignace Henri Jean Fantin-Latour - The complete works
画像が少ないけれど日本語でヒットするサイトには詳しいプロフィールが紹介されている。
どこでもほぼ同じ内容が書かれているが、
上のアレンジメントの指導を請うた女流画家のエピソードは
日本でのファンタン・ラトゥール展図録に載っていたもので
あまり触れられていない話だと思う。
たいした話でもないけれど・・・
あと、ゴッホはファンタン・ラトゥールを静物画家として非常に尊敬していた。
このことは昔の「太陽」のゴッホ特集号に載っていた。

これら、写実的な作品を尊敬しつつも、
私は実は下のルドン(Odilon Redon、1840~1916.仏)のような作品も好きなのである。
ルドンの花
これは本当にすばらしい。
色彩はルドン独特のものだが、後のピカソのバラ色の時代を思わせる。
ラトゥール作品と共にいつまでも見飽きない、
これこそ絵画だ、と思う作品だ。
オディロン・ルドン作品はこちらでたくさん見ることが出来る。
ページ数が膨大だが、上の作品ページから見るのがいいと思う。
ラトゥールといい、ルドンといい、その専門サイトの画像収集の執念はものすごい。
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Tag:ファンタン・ラトゥール ルドン シャルダン

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