「筑紫哲也 明日への伝言~」(BS-TBS)を観て

 30, 2013 01:37
筑紫哲也さん

筑紫さんの生前、NEWS23の多事争論を観ていて、いつも思ったものだ。
あれだけの内容を原稿なしで滞りなく、90秒で、しかも毎日、よく語れるものだと。
下って東日本大震災以後はもちろん、リーマンショック後の状況においても、
「筑紫さんが生きていたなら、どう伝え、語っただろうか」と、
これまでさまざまな局面でその都度何度も思った。

BSでは没後4年と3カ月ほどたった半端な時期に、こういう特番を組んだのはなぜだろうか。
かつての部下、後輩であり、後継者であらねばならなかった松原耕二が、
誰もその後を継げなかった悔恨の思いから、
筑紫哲也の足跡をあらためて取材する事によってかつての報道番組の姿を
今この現在に問い直したかったのではないだろうかと思ったりもした。

筑紫さんは番組内で何度もこう言う。
報道とは「弱いものの立場から見ること」
「権力的なものを(間違ったことをしていないか)ウォッチすること」
「(たとえ間違った意見でも)いろいろな立場の意見を広く聞くこと」だと。
「とかく1つの方向に流れやすいこの国の中で」少数派であることを恐れないこと、
自由の気風を大事にすること(これは広く意見を聞くこととも重なる)、
そんなことも語っていた。
今、報道の立場から見る人は、この言葉を聞いていったい、どう思うだろうか。
・・・・

人にものをいう場合、説得力を持つ、というのはたいへん難しい。
外面をとっても感情が出にくい表情、穏やかな声質、
そして(こちらの方が重要だけれど)内面だと、発言する内容の背景にある膨大な知識、
知識というのは報道の場合、取材と言ってもいいかもしれない。
筑紫さんという人は、いつどんな分野の話題を投げかけても実のある答えが返ってきたという。
筑紫さん以後、似たような番組をつくり、同じようなフォーマットに貼り付けたものが多い。
ひとがつけた道筋をなぞることほどたやすいことはないが、
同じ事は決してできないし、同じ結果もまた生みはしない。
ジングル的音楽付きのオープニング、
ニュース番組なのにミュージシャンをスタジオに呼んでミニコンサートをする、
ゲストに国内外の要人を呼ぶ、あるいは直接インタビューする、
エンディングにまた(人気ミュージシャンの)音楽を流す、
みな筑紫さんの番組からの猿まねである。
彼らをよく調べた上で真から会いたい、歌を聴き、聞かせたいと思った
そのジャーナリストとしての動機から生まれたものとは、自ずから緊張感と感動が違ってくる。

ところで、画の世界にはメッセージ性のある作品、画家は多いが、
真にメッセージを見る側に届けられる作品というのは、実は極めて少ない。
イデオロギーやメッセージが生になっていると陳腐に堕ちる。
ベン・シャーンなどが芸術作品にまで昇華されているのは歴史上においても極めてまれな例だ。
それは詞による直接のメッセージがあるにもかかわらず、音楽においてもまた同じだと思う。
そしてそのまれな例が、エンディングに曲の井上陽水の「最後のニュース」だと、今も思う。
この曲を聴くと感動する以上に強く自問し、自省を促される気がするのは自分だけだろうか。
「最後のニュース」にあって、他のそれにはないもの、
それが今の番組制作の違いを象徴してるように思う。

当時、友人とこんな事をいったことを覚えている。
「いろんなキャスターや司会者が出てるけど、筑紫さんだけは「さん」付けで呼ぶよなぁ。」

TVというのはネット社会といわれる今も、相変わらず大きな力を持っている。
政治家も、政権担当政党も、一国の総理もTVが決める(視聴者を導く)ことに
今も昔も変わりはなく、今はよりいっそうその傾向が強くなっている気がする。
だからこそ、今ほど筑紫さんのいないことが惜しまれる時代もないのだと思う。

内閣支持率が70%に迫っているのだと新聞に出ていた。
それも主に株価や円安への政策が評価されているそうだ。
アルジェリアの人質殺害事件についても、
事件時に晩餐会や木を植えたりの外遊を変更もしなかった首相の無策に
7割の支持、と出ている。
前政権の時に円高に対していったい何兆円の我々のお金を突っ込んだか思い出せば、
思わせぶりなキャッチフレーズをつけたり、日銀にちょっと声を掛けたり、
国が少々円を売ったところで短期間にこれほどの効果が出るはずがない。
株も円も国内の力ではこれまでなんとも手の打ちようがなかったはずで、
だとすればこれは、日本以外の力が働いた考えてしまう。
そのうち、高い見返り・代償をどこかの国から買わされる日が来るのではないか。
自らの無策に自衛隊法の改正を持ってくるなど、問題のすり替えも甚だしい。
そういうことをTVで言ってくれる人がいないから、こういう追悼番組が作られる。
それもBSでのみ放送されたことに、局側の軸足のブレを感じてしまうのは
私の穿った見方だろうか。
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COMMENT 2

Thu
2013.01.31
01:02

タブロウ #3h4yWL0g

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しょうちゃん、こんばんは。
コメントの入れにくい話題にありがとうございます。
読んでおわかりの通り、私はこのようにかなり青臭い人間です。
怒りが「生」のままですね。

おっしゃるように、そのうち必ず反転が来るでしょうね、さらにその反転も。。
外にものを売って生きている国は所詮浮き草のようなものです。
韓国は日本以上に外への商いが大きかったから、こういうことが起こりますね。

さて、少し怒ったところで、また筆を持てば心安らかになるでしょうか。

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Wed
2013.01.30
23:08

しょうちゃん #bGf9qjkw

URL

絶滅危惧種

いやいや 日本の絶滅危惧種にジャーナリストですか

そもそも 内閣支持率や視聴率みたいな訳の分からないパラメーターに振り回されいる世の中 戦後の教育の点取り虫が一杯 つまらない世の中です

タブロウさんは前に戻ると嘆いておられるが 小生は今財政緩和に打って出ていつ財政引き締めに戻るかその微妙な駆け引きを楽しみにしているのですが
そりゃ このまま行ってしまえば全くの馬鹿ですからね

それと 昨今の円安で思ったことは韓国が想像以上に底力がなかったですね それ思うと国のリーダーは重要ですね

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