石の上にも三年

 20, 2013 10:32
sakura2013

桜の花が開く季節になった。
「東京に来て〜年」と思うこの季節、
それははるか昔にくぐった入学試験の季節でもある。
温かい日が続き、冬のジャケットをしまってしまおうかと思ってると
試験の発表日である15日前後に、京都は雪が降ったりするのだ。
今思い出しても、なんで6年も試験を受け続けたのだろうかと思う。
筆を持つための方便だったか。
今に至るも後悔はない、とは思うものの、
それは宮本武蔵のような威勢のいい悟りなどではなく、
もう終わってしまってどうしようもないのだから、せめて後悔はしないでおこう、
という、愚か者の「お願い」のようなものだ。
・・・・

年末にネットで画の本をまとめて買ったものの中に、熊谷守一の書の本があった。
それを久しぶりにページをめくっていて、
「石の上にも三年」という、人生で最も早くから知っている格言に目がとまる。
その言葉の意味を、実はよくわかっていなかったことを、今日初めて知った。
石の上に三年もかじりついていれば思いも叶う、くらいのことを自己流に考えていたが
由来はもうすこし深い。
石の上だって三年座っていれば、冷たい石もさすがに温かくなってくる、
という意味なのだそうだ。
気の長い話である。
しかも願いが叶うというニュアンスはなく、
「それをやり続けてさえいれば、つらさは三年ののち、徐々に和らいでくるぞよ」、
程度の慰めの言葉とも思える。
しかし、なんでもすぐ結果を出そうとする今の世の中、気の長い話はちょっと尊い。
そしてこんなにいい言葉だったのかと、少々感激もしてしまった。

生活の中で直面するさまざまなことは、懸命に取り組んで一歩も進まないことも多い。
「一歩進めた」という人には心からの拍手を、
「まただめだった」という人とは対話を、酒は荒れるから控えめに。。
最大限のエネルギーを注いで、いつも失敗を重ねて、
しかも楽しく生きている人と話すのは、似たもの同士のせいか、とても楽しい。
しょぼくれた傷心は尊いと思うし、そしてそういう人が描く画には、
えもいわれぬ魅力があったりする。
勢いのあるものはとても疲れるものだ。

三年と言えば、ふたたびび絵筆をとって三年になる。
三年の間、仕事が終わって帰宅後の深夜の作業、100枚くらい描いたろうか。
いつか、その一枚をかけていれば部屋の空気が変わり、いい香りがする気がするような、
そんな画を自分で描きあげてみたいものだが、
これは三年では何ともならないようだ。


下はその熊谷守一の書だ。
石の上にも三年
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COMMENT 4

Thu
2013.03.21
23:57

タブロウ #3h4yWL0g

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No title

のまどさん、こんばんは。

筆の上での三年はあまりに短いので格言と結びつけたくなかったんですが
打ち終える時に気がついたのでつい触れてしまいました。

僕らが東京にふらりやってきた頃には、仕事など腐るほどあって
たとえ26歳の社会人未経験者であっても、
「さて、何になろうか」と手を揉むような意気込みを持つことができ、
目の前には大海原が広がっていたような感覚がありました。
今だったらどうなっていただろうかと思うと、想像もつきません。

自分にもし才覚があったなら、
就職氷河期に仕事に就けなかったやる気のある若いやつを、
可能な限り正社員にするのに、と思いますよ。
夢は一生必要だと思いますが、20代の若い時に持てないほどの悲劇はないと思います。
今、ちょっと追い風が吹いている人や居心地のいい場所にいる人は
それを彼ら自身のせいにしがちですが
きっとそこからはなんにも見えないんだと思いますね。

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Thu
2013.03.21
20:34

のまど #-

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No title

タブロウさん、こんにちは。

再び筆を握り始め三周年ですか、仕事との掛け持ちでご苦労もあった事と思います。

石の上にも3年,、、確かに3年で何かを成し遂げられる様では,元々は大した事では無いんでしょうね。

同じ事でも3年やってれば朧気にも少し見えてくると云う事なんでしょう。

そんな私ですが、、初めて油彩を描いてから35年が経ちますが、、まだまだ自分の絵画が見つけられません^^;

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Wed
2013.03.20
19:12

タブロウ #3h4yWL0g

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No title

しょうちゃん、こんばんは。
さきほど、サイトのスケッチを拝見しました。
スケッチにも春の色が差してきましたね。

熊谷守一さんは書に猫が隠れていることがあるんですか、
知りませんでした、おもしろいですね。
画伯は飄々としたその生き方の背景に、とてつもなく強いものがありますね。

松田正平さんの画集をお持ちなのですねー。
私も以前、図書館で借りてみたことがあり、いい本でした。
そのうちきっと購入するつもりです。

お好きな高野卯港、熊谷守一、松田正平、長谷川利行など、
しょうちゃんの人柄と画に重ねて、いい意味で違和感なく納得ができます。
奥さんに手こずるのは同じなんですね。
この先もそうか、自分もずっとこうなのかと、
しょうちゃん兄のコメントを読んでちょっと気が重くなってしまいましたˆʟˆ;。

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Wed
2013.03.20
12:01

しょうちゃん #bGf9qjkw

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No title

タブロウさん こんにちは
熊谷守一さんの書と聞いてどこかに猫が隠れていないか 真剣に探しました 今日は朝から松田正平さんの画集で画や書を見ていたのですがやっぱリセンスのある人は何かが惹きつける魅力があります 今日のお話身にしみます 衆生 生きていくことは色々あって

三年で冷たい石も温かくなるのですが かみさんとは何十年になるのですが 一向に温かくなってくれません 石より手ごわいですね  ではでは又

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