ビンテージのバックパック

 29, 2013 01:40
バックパック

春と言えばもう一つ、このバックパックは私が高校入学が決まった時に
同時期に大学入学の決まった従姉妹とともに、九州旅行へ行くのに購入したものだ。
今で言う卒業旅行で、私が親からそんな褒美をもらうわけもなく、
一人旅をしたことがない従兄弟が心細く、さらに親も心配であったため、
年下ながらどこでもすいすい行きそうな私を付き添わせたのだろう。
もう35年前になる。
当時バックパックはアメリカから入ってきたばかりのニューカルチャーだった。
奈良にいた15歳の私がそんなことを知っているはずもなく、
そういうことに敏感な大阪の従姉妹が旅行用に欲しいといって親に買ってもらった。
その時私も一緒におこぼれに預かったものなのである。
ところが近所にそんなハイカラなものを売っているところはなく、
大阪肥後橋のミズノ本店まで何度も通って購入した。
高価なものだったので、すぐには決められなかったのだ。
従姉妹は一時の流行で購入したものの、以後使うことはなかったように思う。
しかし私はその後このザックと、今に至るまでの長いつき合いだ。
・・・・


いまもアウトドア系の雑誌によく取り上げられる
アメリカ、ケルティ社は、バックパックの歴史そのものである。
今や世界的なアウトドアメーカーである同社は1952年に創業者のディック・ケルティ氏が
自宅ガレージでミシンを踏む奥さんとともに始めたメーカーだ。
そのあたりはアップル創業者のジョブズとよく似ている。
アルミフレームとウエストベルトで背に完全にフィットした疲れ知らずの使い心地、
分割されたパックの革新性は、以後50年以上経っても古びることはなく、
道具にこだわるトレッカーにはマニアックな人気がある。
優れた機能性とともに、高いファッション性は多くの若者に支持され、
伝説の野外コンサート、ウッドストックではそのバックパックが会場を埋めたそうだ。
それまではアウトドアと言えば、今見れば古色蒼然としか言いようのない、
黄色いキスリングだったのである。
親の世代が「むっすめさん、よくきーけよ」と歌いながら背負ってたあれだ。

ここまでは豆知識で、
私のバックパックがそのケルティ社製であれば胸を張って自慢も出来る。
しかしながら悲しいことに私のは、
そのデザインを完全にいただいた日本のミズノ製のそっくりさんである。
当時は今の中国の役回りを、わが国日本が担っていた。
しかしコピーする時には完璧にコピーするMade in Japan、
その後35年使い続けてきても、破損や破れもなく、
色が褪せたくらいで今も十分、旅のハードな使用に耐える。
一見しただけではケルティ社と見分けにくいほどのミズノ製品は
ひょっとしたら同社とライセンス契約をしていたのかも知れない。
当時も2〜3万円はした、かなりの高級品だった。

学生時代に買った高額の趣味品は自転車にせよラジカセにせよ、
どれも消耗し切った中でこのバックパックだけは今も使っている。
このパックで中学の卒業旅行(南九州一周)にはじまり、
初めての海外への旅、最初の北アルプス、アメリカでの結婚式、
そしてそれまでアウトドアと無縁だった妻との初めての旅、
テント泊の東北一周をした時もこれだった。
(日本を縦断した旅だけは、大きすぎたので使わなかった)
アルミ製のフレームは背負いやすくて疲れにくいだけでなく、
初めての海外への旅の時には列車やバスの中で
ワイヤーキーをかけて手すりなんかに止めたり、
雨の時には床においてもザックが濡れないのはとても便利だった。
分割された構造のパックは、荷物を取り出すのに都合がいい。
最近のパッカーは登山者が使う1〜2室で縦長の筒型ザックを使っているのをよく見るが
あれはやはり山登りで使うものだろうと思う。
私も山ではLafuma製のザックを使っている。
細身だから山道で枝に引っかかりにくいのだ。
しかし底に入っているものを取り出すのには上の荷物を全て出さなくてはならず、
荷物をよく出し入れする旅での使い勝手は決してよくない。
逆にフレームザックは前屈みに腰を曲げにくく、幅があるので枝に引っかかる。
平地に近い場所を歩くためのザックだ。
現在こういうフレームの露出したザックは、ほとんど見なくなった。
フレームをザックの背部分に内蔵したインナーフレームというデザインが主流だ。
しかしそれとてもアルミフレーム+ウエストベルトの基本構造は変わってはいない。

旅には時代が下っても、自分にはやはりフレームザックが一番使いやすい。
最初に世に出たモデルが、すでに完成されていたのもまたすごいことである。
これ一つ背負って、どこへでも出かけていけそうな気がする。
そんな優れものが、今やケルティ社でも復刻版のみの製造だそうだ。
当時出回った無数のコピー製品は、フリマなんかで今もたまに見かける。
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COMMENT 4

Sat
2013.03.30
12:13

タブロウ #3h4yWL0g

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No title

のまどさん、こんにちは。
風景画家ののまどさんがアウトドア用の器具にこだわるのはよくわかります。
私は山は本格的にはかかわっていないので参考レベルでお聞きくださいね。

ミレーはどうもアメリカ製とは生地が違うらしく、ゴム部分以外に劣化は見られません。
丈夫だしカラーリングもきれいなものが多いと思います。
私も日本縦断のときにはミレーのを使用しました。
最近はザックの買い換えもしていないのでわかりませんが、ミレーはやや高価だと聞きます。
ラフマはミレー傘下に入ってからはデザインが変わってしまいました。
以前のほうが段違いによかったのですが、
ひょっとすると日本と欧州とではデザインが違っているかもしれません。
ラフマのジャージもふだん使いにしていますが、
無地のブルーが日本では見たことのないシックな(セルリアン系)ブルーで気に入っています。
こちらでは最近、北欧系のHAGLOFS(ホグロフス)がデザイン最高で人気がありますが
ものすごく高価です。

肝心なことを忘れていました。
テントにしろザックや雨具にしろ、それを使う土地(国)で作られたものが
そこで使うには一番いいものが多いということです。
とくにテントは、湿気が多くて欧米人ほど暑がりが多くない日本では
構造や生地、とくに暑さ対策には特徴的なものがあって、
欧米製のものはあまり使い勝手がよくないんじゃないかと思います。
たとえば、アメリカ製テントでは冬山用以外はフルメッシュのものが多く、
日本の高原では夏でも寒いんじゃないかと思います。
天井から星空が見えるMossのテントも、雨の少ないアメリカの気候があってのことでしょうね。
こちらは雨や夜露が多いのでフライシートは完全に覆っていないと
テント内部までずぶ濡れになってしまいます。
あと、うちも家族でキャンプに行くようになってからは車で行くことが多く
重さを考えなくなりましたが、やはり日本製は軽いですね。
体力のある欧米人は少々の重さは平気なのか、オートキャンプが普通なのかはわかりませんが。

余談ですがもう一つの必需品、バーナーはガス使用のPrimusを愛用しています。
着火システムが壊れやすいのでいつもライター持参ですが、火力も最高で信頼感抜群です。
これはもともとスウェーデンのメーカーでしたが、
今は日本のイワタニ傘下に入って安くなったのはありがたいことです。

熱が入って本文並みに長くなってしまいましたˆʟˆ; 。

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Sat
2013.03.30
08:15

のまど #-

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No title

タブロウさん、度々スイマセン^^。

そうそう仰る通りアメリカ製は、デザインは武骨で良いのですが、劣化しますね。
私の買ったグレゴリー社のミッションパックと言う四角いデイパックが在るのですが、内側のコーティング剤が変質して悪臭が酷かったです。
デザインが好きなので今でも持ってますが、、。

モスのテントもそうですか、、。
寝ながらでも天井から星が見えるそうで欲しかったのですが、高根の花でした。
確かノースフェイスに居た方が独立して造った会社ですよね。

日本で買った安価な小川テントをフランスでも使ってたのですが丈夫でしたよ。

海外生活が長くなり、今では誠実な造りの日本製が好きです。

私も普段使用してるのは、ラフーマの透湿性ジャケットです。
アウトドアならエ―グルも良いです。
本格的な登山ならミレーが良いのでしょうか?

Edit | Reply | 
Sat
2013.03.30
01:57

タブロウ #3h4yWL0g

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フレームザックは画材用にも

のまどさん、こんばんは。
革新はアメリカから来ましたが、ナイロン生地を使用したアウトドア製品では
むしろ日本製はアメリカ製を凌いでいると思います。
とくに(アメリカ製の)テントやザックの生地は、ほぼ10年きっかりで化学分解し始め
裏地がはがれたり悪臭が発したり、べたべたになってしまうものが多いんです。
私の使っているものはすべてそうなってしまいました。
日本製は何が違うのか、私の持っているテントやこのザックは35〜25年経っても
品質の劣化はあまり感じられず、普通に使えるのには驚きます。
妻の姉夫婦が、NY近代美術館にも収蔵されているMOSSの高級テントを持っていましたが
それもきっかり10年でだめになりました。
デザインと機能はアメリカ製、長く使うのなら日本製というのが実感です。
(私が山で愛用していたLafumaは仏製ですが)

ところで、フレームザックは画材を運ぶのにもとてもいいと思うんです。
大きめのイーゼルも縛り付けられるし、荷物の形や大きさに融通が利きますね。
よく折りたたみの椅子になるタイプが画材屋に売っていますが、
あれはカッコ悪いし、私だけかもしれませんが椅子が低すぎます。
余談ですが、Amazonで通常の折りたたみ椅子の倍の座面の高さがある、
珍しい折りたたみ椅子を見つけて購入し、子どもの運動会なんかでも重宝しています。
ちなみに私のザックはそれにはちょっと大きすぎるんですが、
もう少し小さいものをリサイクルショップなんかで物色していますが
なかなか見つかりません。

好日山荘は店舗数も増えて、今も好調のようですよ。

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Sat
2013.03.30
01:03

のまど #-

URL

No title

タブロウさん、こんにちは。

このタイプは、私達の年代には懐かしいですね。
今でも欲しいです^^

これって強力かシェルパの道具をヒントにしたと何処かで読んだ記憶がありますが、、定かではありません。

狭い場所では岩とか枝に引っ掛かりますが、それ以外ならレトロで使い易そうで良いですね。

私も好日山荘オリジナルのサックを2個、確か今でも持っています。
古い方は京都の四条で買ったから、もう30年ほど前のです。
後は当時から使用してるのは、レッドウイングのワークブーツ位です。
一生ものと言う言葉に弱いオッサンです^^;。

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