京都のジャズ喫茶再訪

 05, 2013 01:25
ジャズ喫茶のマッチ

奈良へ帰った折、すぐに自宅へは向かわずに京都を散策した。
市内を歩くのははや十数年ぶり、所帯を持って以来初めてだ。
古都奈良とともに京都も日本で最も古い街であり、
その古いところが人を集めているにもかかわらず、街はどんどん変わっている。
それに引き替え、自宅の団地付近は新興住宅地であったにもかかわらず
外観こそ変化が少なかったが人やとくに子どもの数が激減し、
老いるふるさとにやりきれない寂しさを感じる。

京都の町は私が高校生の頃、美術館に行った時にはジャズ喫茶に寄るのが常だった。
京都は学生が多い町で、60年代から70年代にかけて少し背伸びした学生たちが
ジャズをガンガンにかけた店内で、眉間にしわ寄せ一杯のコーヒーで
毎度何時間も何かに悩み続けたらしい。
私が通った頃にはそういう学生もいたかもしれないが多くはなく、
多ければきっと、どの店もつぶれていただろう。
奈良にはそういう喫茶店は少なく、当時の私には珍しく映った。
大阪はどちらかというと、ロック喫茶や当時はやったディスコが主流だった。
当時高校生でジャズを聴いていたと言えばちょっと鼻持ちならない感じになるが、
私の聞けるのはモダンジャズまでで、フリーになると頭が痛くなる。
エリック・ドルフィーまでがせいぜいで、オーネット・コールマンは勘弁といった感じは
印象派からピカソまでは好きだけれど現代アートは苦手、
といったところと似ているかもしれない。

そういう店をまわって、きれぎれの思い出と店のマッチが後に残った。
上の写真は実家に残っていた、その頃集めた燐寸である。
・・・・
中には京都だけでなく東京や、友人にもらった海外のものもあり、
東京の表参道にあったペニーレーンや、ハナエモリビルの「猫」のもある。
もっとあったが、ずいぶん前にほとんど捨ててしまった。
記憶の店はまだあの場所にあるだろうか。
おそるおそる路地を歩き回った。
もう場所もほとんど覚えていなかったが、
三条から四条にかけての高瀬川沿いに集中していたので、
そのあたりを歩けばかなりの店が見つかるはずだった。
京都の裏町
(この店はいったいいつから中島みゆきをかけ続けているのだろうかと気になった)

さて、結果から言うと、
集めたマッチの中にもある「ブルーノート」
「築地」「フランソア」「ソワレ」はまだ健在だった。
しかし、今回コーヒーを飲んでいきたかった「みゅーず」はすでになく
「蝶類図鑑」は当時も店を見つけるのに難儀した覚えがあるが、
店自体がなくなっていたようだった。
「みゅーず」はクラシック専門の名曲喫茶で、
私はクラシックは聴かないものの大型で旧式の巨大スピーカーを前にして、
音楽堂のように同じ方向を向いて据えられたビロードの椅子に、
今一度座ってみたかったのだ。
しかし歳月の審判は厳しい。
建物はそこに残っていたものの、店自体は焼き肉屋に変わってしまっていた。
その斜め前に「ソワレ」が健在だったのが救いだ。
しかし「ソワレ」も「フランソワ」「築地」も、かなり(昔の)少女趣味が強く、
私は今回ひとりで入ることができなかった。
ソワレは東郷青児の画が店内に飾られたり、カップに使われていたりで今も有名だ。

「蝶類図鑑」はその名の通り、店内にはおびただしい蝶の標本が壁に掛けられていて
そのマッチ(下の写真右)は当時集めたマッチの中でも異彩を放っていた。
ジャズと蝶がどう関係しているのか、最後までわからずじまいだったが
当時店内にはマッチに書いてあるモダンジャズではなく、
苦手の激しいフリージャズが大音響で流れていた。
蝶類図鑑

ジャズ喫茶を最も多く回った日は一日に4軒、
学校をサボって丸一日京都をうろついていた。
歩けばもっと回れたが、もうそれ以上は一口もコーヒーが飲めなかったのだ。
京都駅まで友人と歩いて戻り、やれやれと電車の席に腰を下ろしたら何という偶然か、
我々の真ん前に立ったのは高校の生徒指導の先生たちだった。
翌日は当然、シビアな生徒指導が我々に下されることとなった。。
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COMMENT 4

Fri
2016.07.22
00:42

タブロウ #3h4yWL0g

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Re: なつかしい

コメントをありがとうございます。
「しあんくれーる」は明るくて普通の喫茶店のような店内でしたが、
そういえば大きな音だったかもしれません。
でもどこも音は大きかったですね。
たしか高野悦子の「二十歳の原点」に出ていたので有名だったんですよね。
残念ながらYAMATOYAへは行ったことがありません。
サンタクロースは行ったはずですが、どうも記憶があいまいです。。

今は私もほとんどJAZZを聴かなくなりましたが、
昔のステレオでレコードからiPodに入れられないことが大きいですね。
持っているのにTSUTAYAでCDを借りてくるのも、ちょっと二の足を踏みます。
けっきょく最後まで聴いていたのは、
「ミントンハウスのチャーリー・クリスチャン」や
定番のバド・パウエル、そしてフランスのジャンゴ・ラインハルトでした。
ジャンゴはCDを買って今も時々聴いています。
何年か前、10枚組のBoxセットが2000円で売られていて、びっくりした記憶があります。
当時はほとんど輸入盤しかなく、高かったんですね。
だからJAZZ喫茶へ足を運んだんですが。

楽しい話をありがとうございました。

Edit | Reply | 
Thu
2016.07.21
20:05

京都在住人 #-

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なつかしい

当時に同じような思いでJAZZ喫茶に行かれたのですねぇ、 お会いしていたかもしれませんね。
私は、YAMATOYAや表通りのサンタクロースなどによくおりました...「しあんくれーる」は1度行ってみましたが、たまたま好みでない大音量JAZZだっので、それっきりです。
最近我が家の「納戸」にしまい込んでいた保存の悪い当時収集JAZZレコードを聴いている事が多いです、いいですょねレコードも...
当時一緒にJAZZ喫茶で話し込んだ友人たちとも今は疎遠ですが、掲載されているマッチでタバコ吸ってた友人の顔まで思い出しました。

よいブログです、 では失礼します。

Edit | Reply | 
Mon
2014.01.13
17:47

タブロウ #3h4yWL0g

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Re: 68年から72年の間

aさん、丁寧で心のこもったコメントをありがとうございます。
通った年代からすると、私より少し年上の方かと推察いたします。

私は奈良住まいでしたので、通ったといってもたまに美術展に行ったときくらいです。
記事の店くらいしか記憶がなく、おおかたの店は(行ってみれば分かると思いますが)
名前だけではもう分からなくなっています。
今、手元のマッチを見ましたら、ザボとインパルスがありました。
あと、レディ・デイ、メルヒェンなんていうのもあります。
百万遍の駸々堂は今も健在で、こちら今も雑誌なんかでよく見ます。
そうですか、そちらで喫茶店を経営されているのですね。
うらやましいなぁ、と、喫茶経営の難しいところを考えもせずに思ってしまいます。
めったに関西へ帰る機会がなくなっているのですが、
その折にはまたぜひ京都のジャズ喫茶へも寄ってみようと思います。
お店の方も長く続けてくださいね。

Edit | Reply | 
Mon
2014.01.13
15:38

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