「顔だしの家」

 15, 2013 02:52
顔出しの家
(F4、油彩

前回描いた小路の奥の階段をのぼり、
左に折れて3分ぐらい歩くとほんの少し高台になった住宅地が続いている。
ここは斜面というか小さな崖の上にあり、
平屋に見える家屋はがけの下から顔を出した二階舎の二階部分になっている。
幸いにも背景に高層マンションは建っておらず視界爽快で、
玄関付近のデザインと合わせ、どこかユーモラスな景観を作っている。
ホッパーが好きそうなこの顔出しの家を描いてみた。
大家は階下に住んでいるらしく、アパートになっている二階は
道路と鉄板の床でつながったトビラから入る4連長屋である。
そこそこ古い木造の建屋は修理あとのつぎはぎが見えるが、貧相にはなっていない。
窓枠と板壁の色合いがどこか日本離れしている。
こういうちょっとしたセンスが東京らしいと思う。
ここに住んでいる自分をちょっと想像していると、
一瞬気を失っていたかと思うほど夢中になって時間が過ぎている。

中川一政画伯が敗戦後に、進駐軍が摂取した木造図書館を前にして足が止まる。
彼らの手によって板壁を濃い緑に、窓枠を白に塗り替えられた様を見て
その生きた色と洒脱なセンスにため息をついたという。
彼らは遠いアジアの空の下に入っていっても、
自分たちの生活環境をこのようなところから整えてゆくのかと。
建築家は構造の立体的なデザインを云々することが多いが、中はともかく
ありきたりの木造校舎が色彩一つでこのように印象が変わってしまう。
日本では何につけ、無垢で素のままが尊ばれる。
無地、無印というのがブランドになる国だ。
世界的な建築家の安藤忠雄の建築の多くがコンクリート打ちっ放しであることなども
日本の建築家らしさをよく表している。
私も安藤建築が好きで、これは日本人にしかできない建築だと思う。
しかし反面、建築の色彩については日本人はやや苦手であるような気がする。
無垢を尊ぶ日本人の色彩感覚は老人のものであると中川画伯は言う。

ペンキだけで建物の印象ががらっと変わってしまう。
誰でも一流建築家に一泡吹かせられる可能性はあるのだ。
しかしながら家主が好きに塗った家というのは、残念ながら多くがびっくりハウスである。
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Tag:油彩 Landscape Paysage 風景画

COMMENT 2

Mon
2013.06.17
22:45

タブロウ #3h4yWL0g

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No title

メグさん、こんばんは。
このあたりを再度周回してみたら、同じ配色の家がずいぶんあることがわかりました。
みな古い家で和洋折衷、ペンキでよくメンテナンスされている。
ひょっとしたら、この地区で景観に関するルールみたいなのがあるのかもしれません。
ルールって言うと堅苦しくなるけど、
誰でも自分たちの町の景観をよくしたいっていう思いは、ありますからね。

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Mon
2013.06.17
04:41

魔女メグ #FhqeNpQ.

URL

ありますね

似たような建物、近くでも見つけます。
宮崎駿さんが、好きそうですね、訪ねるとバイオリンを制作中だったりする^^。
この建物の先はどんな風景かしらと創造しています。

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