男の最終手段「家出」

 09, 2013 01:14
もうすぐ敬老の日だからというわけではないけれど、お年寄りの話が続く。

今年7月末に、96歳の男性が87歳の妻と夫婦げんかをして家出をし、
北九州から沖縄へ、そこから今度は東京へ行くつもりでどういうわけか
中部空港でぼんやりしていたところを保護されたというニュースが話題になった。
人間いつまでたっても夫婦間のいざこざは絶えることなく、
年齢を経てもそれほど物わかりが良くもならないのだと知って、私はため息が出た。
自分もいつかはきっと、ものわかりのよい、おだやかなおじいさんになれるのでは、
と密かに期待していたのにこれを読んであてがはずれた。
最も注目を浴びたのは保護されたとき、老人の手にしたバッグのなかには
2800万円もの大金が現金、それも封の切られていない札束で持っていたことであった。
老人は杖をついていながらも頭はしっかりとしていたということである。
老人はこの大金を(この年齢で)
「どこか気に入った場所があったら移住するため」持っていたと読んで、さらに驚く。
人間つくづく歳は取っても頭脳ははっきりして
この保護された男性のように身体的にも健康でありたいものだと思った。
また、仮にそうであっても世間の良心というかお節介というものがある限り、
世の中はそうそう自分を放って置いてもくれないものなのだと再度嘆息した。
この話は、以前水彩画家ひまつぶしさんのBlogでも取りあげておられた。

高齢での夫婦不和は年齢、時代、国、そして教養に関係なくあるようで
ロシアの大文豪で思想家のトルストイが同じように、長年の夫婦不和の末、
82歳の時についに家出(!)、一週間後の旅の途上で倒れて亡くなっている。
文豪の場合は高齢での自分探しの旅に肉体が追いつかなかった悲しい例である。
大思想家らしからぬ最期だけれど、それでもそれが人間というもので
文豪も我々と同じく、一人のたわいのない男だったのだと思った。
そしてニュースの老人の放浪は短かったかもしれないけれどその間、
おそらくこれまで感じたことがなかったほど大きな自由を味わったことだろうと思う。
その点では文豪より(ひとまずの)結末は幸せである。
その後、急に老け込んだりしないことを願うばかりだ。

トルストイの肖像写真
(Wikipediaより、トルストイの肖像写真)
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