「川と町の夕景」

 22, 2013 00:54
多摩川夕釣り
(F6、油彩

夏の終わりに描いた岩と子どもとトンボのは、仕上がってみれば
あまり面白くもなくてがっかりしたが、見ながらあることを思った。
この画の中で、地上に最も長く残るのはトンボじゃないだろうかと。
トンボの生はわずかなものだ。
しかし来年も再来年も、そして十年後もおそらくトンボはここに飛んでいるだろう。
繰り返されるトンボの生は卵から成虫までの一年の単位ではなく、
生の連鎖が「ひとつながり」のように思える。
自然環境がちょっと崩れればあっけなく絶えてしまうとも言えるが
重い病や放射能で死ぬことはない点、人よりタフな一面もある。
岩は硬くて強いようで雨風によって流され、やがては小さく丸くなり海へと消える。
さて「人」は、
人はトンボのように生の連鎖はひとつながりではない。
人ひとりひとりはみな違う生であり、独立完結しているように思えるし、そう思いたい。
人ひとりの人生が終わることによって、一つの可能性が消えるのだと。
持っていた可能性は場合によると無限だったとも言える。
人の生はあまりに短く、子どもの姿など一瞬の残影に過ぎない。
もろく儚い「人」とは、だから、環境を含め、
大切にしないとすぐ消えてなくなってしまう生き物なのである。

町に戻ってふたたび川を見た。
都市を流れる川は人の生活の都合にあわせて流れも姿も変えてきたし、これからも変わる。
川向こうに見える人の住む町の姿は、さらに短いサイクルで変貌する。
変わらないのは明日も朝にやってきては夕べに沈む太陽くらいだ。
ここでは人を含む風景全体がもろく儚い。
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Tag:油彩 Landscape Paysage 風景画

COMMENT 4

Tue
2013.10.22
22:29

タブロウ #3h4yWL0g

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No title

しょうちゃん、こんばんは。
新鮮な句をありがとうございます。
しょうちゃん兄から句をいただくようになって、
自分ではまったく読めないものの、いろいろ気にするようになりました。
そういえばしょうちゃん兄の画はまるで俳句のような雰囲気がありますね。

この画の風景は、セガレの試合のグランドへの行き帰りに通る道で、
川もたしかに好きですが、ここの風景はとくになじみなんです。

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Tue
2013.10.22
22:22

タブロウ #3h4yWL0g

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No title

KENさん、こんばんは。
いつもありがとうございます。
立て続けにグループ展に参加されているそうで、充実した秋ですね。

私は逆に昼間のよく晴れた日はあまり上手く描けません。
風景的には好きなんですが、画面がどうも均一になってしまうんですね。
KENさんの仏像の画は油彩で描くのに合っているんじゃないかと思いました。

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Tue
2013.10.22
07:29

しょうちゃん #bGf9qjkw

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No title

やはり タブロウさんは川が好きなんですね

 過雁去り川面に残る鷺の声  に

この句今日の朝見た景色です

川も人生も流れ去るもの儚いですね

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Tue
2013.10.22
05:35

KEN #T9f8X956

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No title

タブロウさんのブログ、いつも楽しみに拝見しています。
川のあるこの夕景もよいですね。
スケッチではほとんど晴天の昼間しか描かないので、私には憧れる作品です。油彩描画はどっしりとしていて深みがありますね。

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