代々木の雪

 06, 2014 01:48
代々木の古い一角

先月東京に13年ぶりという大雪が降り、数日後にそれをさらにしのぐ大雪が降った。
肩についた雪が溶けもせず砂のように落ちる粉雪を、都内で初めて見た。

その10日ほど前、仕事で代々木へ久しぶりに出かけた。
たくさんの予備校や飲み屋がひしめく賑やかな西口側に比べ、
東口は小さく暗く、まるで別の駅のようにも見えるが、
ここはかつて松本竣介が当時、モダンな建築物として画に残している。
驚くのは、東口自体は当時とあまり変わっていないことだ。
そしてそこから出てすぐのところにこの風景はある。
ガイシの並んだ木の電柱は傾き、三角帽をかぶった風呂釜の煙突もまた傾いている。
錆びたトタンに裸電球の電灯、割れた窓ガラスには紙テープの繕いがある。
映画関係の仕事で出かけたせいもあって、最初ここは映画のセットかと本当に錯覚した。
しかも廃屋ではなくて今も人が実際に住む現役の家であり、工場(コウバ)なのであった。
何を作っているのだろうか、この傾いたたたずまいからは想像がつかない。
二階建てにも見えるが平屋である。軒は低い。
真ん中あたり屋根が斜めに下がっているがこれは屋根ではなく、
壊れて垂れ下がった雨どいに雪が積もっている。
まことに正しき朽ち方を進行中の建屋はこの一軒だけではなく、
向こう三軒の一角ほぼすべてが(数奇者には)貴重な景観を残していて
奥には「ここはトキワ荘か?!」と声を上げそうなアパートもある。
この昭和初期から30年代あたりにできた、
新しくはないが古すぎもしない「三丁目」の風景がいい。
これら一角のデジャブ物件を前にして、しばし立ちつくした。

後日大雪が降った日、多摩川をスケッチしてから迷わずここへやってきた。
上に書いたようなレトロチャームなポイントはおおむね雪に隠れてしまっていた。
そこで数枚のスケッチと写真を撮ってきて、一枚の画にしてみた。
都心部にもかかわらず時間の流れから取り残されたような場所が残っているのも
東京のおもしろいところだけれど、
ここも遠からずまったく違う風景になってしまうのだろう。
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Tag:油彩 Landscape Paysage 風景画

COMMENT 3

Tue
2014.03.11
01:01

タブロウ #3h4yWL0g

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メグさん、こんばんは。
相変わらず精力的に描いておられて、すばらしいです。

一時はこの近くで働いていたこともあるのに、20年経ってやっと気づいたぼんくらです。
「よく残っていた、などと感心しているヒマがあったら描け!」
と、町からどやされそうな場所でした。
ほかに何枚か描きたい角度があるのですが、今ちょっと筆を持てないでいます。

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Mon
2014.03.10
11:10

魔女メグ #FhqeNpQ.

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こんにちは。
描きたいな、なんて思って、数ヶ月して行くと、もう無い。よくあります。
街はどんどん変り、人はどうなっているのでしょう。
人は、余り変りようも無いのに、流れていくのかしら。

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Fri
2014.03.07
06:53

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