SCRAP

 07, 2014 13:19
スクラップ

経済記事最優先の日経新聞とはいえ、ときどき生の心に触れるような記事が載っている。
そのたびに切り抜いておくものの、
本の間に挟んだり、机の上に置いておいたりするうち、どこに行ったかわからなくなってしまう。
これからはきちんとノートに貼り付けておこうと決めた。
いい話は繰り返し読んでもなおいい話だ、忘れてはもったいない。
昨年あたりから本の中に見つけたいい言葉を、小さなノートに書き写すことをはじめた。
新聞と違って切り抜くことはできないし、線を引いてもどこに引いたかわからず、
おまけに年齢だろうか、翌週にはきれいに忘れてしまうからだ。

週末の新聞、スポーツ欄のFIFAワールドカップの欄に、
いつもは硬派のサッカーに関する記事を書いている吉田誠一さんという人が
その日は記事と言うよりはコラムのような文章を書いていた。
開催地ブラジルの街中で、現地の人から取材中に受けた、
でも日本ではまず受けないような小さな親切の数々をスケッチしている。
読後感は、松浦弥太郎さんのエッセイによく似ている、温かく清涼感のあるものだ。

カフェでコーヒーに砂糖を入れようとすると、隣に座っていた年輩の女性が制した。
言葉が通じないので身振りでこう伝えてくる。
「一口飲んでからにしなさい」
その店のカプチーノは砂糖が入っていて、すでにかなり甘いのだった。

朝、ジョギングに出ようとするとホテルの従業員が後ろから追いかけてきて、
迷うと思ったのか、住所が書かれたカードを渡していった。
案の定、そのカードを見せて道を聞きながら戻ってくることになった。

タクシーで膝に荷物を載せていると「外から見えないように、床に置きなさい」と言われる。
強盗に遭う危険性があるからだった。
記者は他でもあちこちで自分の身を守る方法を伝授される。

そんな親切の数々が紹介されていた。

ある時はタクシーで領収書を書いてもらっていて、
車をタクシーに横付けして運転手に道を尋ねてきた青年がいた。
うしろに車がたくさん詰まっているにもかかわらず、運転手は時間をかけて何度も彼に説明する。
訪ねる側も聞く側も、うしろで待っている車のことを気にかける様子はまるでない。

バスが遅れ、鉄道が遅れ、レジでは長い列ができて遅々として進まない、
しかしそれを守ることが秩序だとすると、
秩序とは優しさを削り取ることで成り立っているのではないだろうか、と記者は書いている。

海外の旅(しかもひとり旅)を勧める理由は上のような経験に尽きると思う。
とくに若い人には国内ではなく、海外でこそたくさん親切に触れることを願う。
帰国後はきっと親切をする側に回るだろうから。
そうすれば世界はもっと仲がよく、優しくなれると思う。
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