0円土産

 28, 2014 00:04
神岡町MAP
鉄道・車、国内外を問わず、旅先で初めての町に入るとまず駅へ向かう。
駅に来れば町の必要な情報、買えば安くはない地図なんかもただで手に入る。
何年か前、飛騨の方へキャンプ旅行へ出かけたときに立ち寄った神岡町。
ここはニュートリノの発見で有名なカミオカンデが近くにあるが、
他には観光資源は何もないところで、歩いても一時間もあれば一回りできてしまう小さな町だ。
私たちが立ち寄ったときにも観光客が町を散策する姿はついぞ見なかった。
しかし、古くて懐かしい感じのする街並みが随所に見られて、今もよく風景を思い出す。
私と次男坊はこういう町歩きが好きだが、奥さんと長男は全く興味がない。
この日も私以外は、この小さな町を車で巡っていた。

町から外へつながる唯一の鉄道は、すでに廃線となっていた。
高架に作られた駅はその後も駅ナカのパーマ屋とともに壊されずに残され、
もう電車の来ることのない線路を歩けば、トンネルを抜けて山の向こうへと抜けることもできる。
そんな町にも観光用パンフレットがあって、今も手元に残っている。
通常、旅から帰ってくればすぐに捨ててしまうこういったパンフレットを今も持っているのは、
町の名所が味わいのある水彩画で紹介されていたからだ。
これまで国内をいろいろ歩いてきたけれど、名所を写真でなく、
手間もコストもかかる画で紹介している観光パンフレットは少なかったと思う。

神岡町MAP-2
神岡町MAP-3

この神岡町のパンフレットは地元の画家が描いたのかと思っていたら、
この町に住んでいるのには違いなかったが、
宮原一美という女性の方で、大阪から移住してきた家具職人なのだそうだ。
教員生活のかたわら、少しずつ描きためた画が町の商工会議所の目にとまったようだ。
パンフレットの画はすべてこのひとりの女性の手による。
今もこの町で、椅子や机などを作っておられるのだろうか。

ほかにも海外から持ち帰って、今も大事に残しているパンフレットがある。
山のトレッキングルートをやはり画で紹介しているもので、
スイスの登山口にある町にはどこでも置いてあった。
こういう美しい山の地図が欲しさに、列車で駅に着いたらすぐに
ツーリスト・インフォメーションへ向かったものだ。
これ一枚で十分山歩きができるくらい、スイスの山は道が整備されている。
本格的な山好きには物足りないかもしれないが、
すべての人が山を楽しめるように、との国の考えからだろうか、
地図に載っているハイキングコースは、車椅子の人でも十分楽しめるコースだった。

ALPS Map
画で紹介された旅先の風景はあとから見ても
「こういうところだったか」と想像力を膨らませることができる。
日本でももっと多くの町でこんなガイドを見ることができれば
旅の楽しみはずいぶん増えるに違いない。
テレビの「0円食堂」ならぬ「0円土産」である。
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