多摩川尾花

 23, 2014 01:52
多摩川尾花(P6、油彩

すすき咲く季節がやってくると、
川べりはまもなく桜金ともいえるピンクがかった輝く白い穂に覆われ、
やがて冬枯れの景色へと移り変わる。
多摩川は、都心近くで大きな自然を感じられる数少ない風景だ。
川べりのモリモリ茂った草むらの沸き立つ量感には、いつ見ても心奪われる。
これが台風なんかで大雨が降るとあっという間に水かさが増え、
画の右奥に見える堤防すれすれのところまで水がくるなど想像し難いかもしれないが、
私は一度その現場を見たことがあるので本当の話だ。
関西にいた頃、多摩川が決壊して付近一帯が浸水したニュースを何度か見た記憶がある。

先月と同じところからの風景を、ふたたび描いてみた。
今回、筆を軟毛に持ち替えて見たら、仕上がりがずいぶん変わった。
筆というのは絵の仕上がりに、こんなに影響するものかと、今さら驚く。

春あたりだったか、行きつけの画材屋のセールにあたり、
いつも見るだけだったフランス製の筆が、在庫処分で格安で出ていたので一本買っておいた。
ここ何年か豚毛ばかり使っていて、軟毛は使う機会がほとんどない。
その後も買ったあとはずっと筆立てにさしたままになっていた。
このままではもったいないので、半年を経て今回下描きのスケッチからこの筆を使ってみた。
ところがその描き味は、驚くほど描きやすかったのだ。
筆を替えるだけでタッチもずいぶん変わる。
画布に乗せる筆触が気持ちよく、こんなことならもっと早く使えばよかったと思った。
筆の毛としては最高級品であったらしく、定価だったらとても手の出るようなものではない。
どうりで描きやすいはずだ。

で、翌朝店に寄り、この筆がまだあるかと聞いたが、
この春の在庫処分品だ、今もあるはずがなく、
半額以下で出ていたのに一本しか買わなかったことが悔やまれた。

ところで、時の流れから取り残されて落ちぶれるようなイメージのあるすすきの花言葉は
意外にも「勢力」「活力」である。
古人がつけたこのキャッチフレーズは、その旺盛な繁殖力によるそうだ。
友人の親戚が経営していた映画館の名前の由来が今わかった。
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Tag:油彩 Landscape Paysage 風景画

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