「水路」

 21, 2015 01:01
春の葦原(F6、オイルパステル)
冬の葦原は写真で見れば枯れ野が広がるさびしい風景に見えるけれど、
実景を目の前にしてみれば柔らかな色がはるかに続いていて、
そこに陽が当たると寒い季節でもとても温かな印象だ。
川辺では風や外敵も防いでくれるので野鳥が多いことのほかに
ルンペンのひとがこの近くに巣のような小屋を造っているのもうなずける気がする。
早春の頃に刈りも野焼きもしないのも安心する理由だ。
多摩川の河口の葦原は4月半ばに至っても上から見ればほとんど変化は見られず
「春まだ来」の印象。
しかしその枯れ野も足下に目を移せば春は確かに来ていて、
水面近くから新たな緑の葉が上へ伸びているのは、人の白髪とは正反対の成長風景だ。
あとひと月もすればこのベージュの風景は一変して緑一色となり、
空にはチューブからしぼり出したような雲なんかも浮かんで
「夏近し」の印象が強くなるのだろう。

ちなみに葦とヨシは同じもので、葦が「悪し」に通じるのでヨシと言い換えたそう。
日本ではよしずなどに使われるが、くきが中空なので笛に加工されたりする。
西洋でも横に長さの違う茎の筒を何本も並べた笛がパンフルートといって、
ピカソの画によく登場する牧神(パン)が吹いているあれだ。
葦原は風景として風情があり、資源としては紙の原料にもなって
放って置いても翌年にはまた生えてくる便利な自然資産だ。
川の水の自然浄化作用もあるし、役に立つばかりの資源なのに減る一方なのはどうしてだろう。

葦原の間に道のように川が通っているところがあって、
これは人工的に切り開いた船の水路なのかもしれない。
ここの水面に映る葦と空の色の対比が素晴らしい。
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Tag:Landscape Paysage 風景画

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