ボリス・ヴィアンの「脱走兵」

 20, 2015 00:46
この曲は、よく読ませていただいている、
長崎在住のちょっと変わった絵描きさんのBlogに紹介されていた。
歌としての背景はよく知らないけれど、先の世界大戦時のことを歌っているのだろう。
反戦の歌として世界的に有名なこの曲を、私はそこで初めて聴いた。
シャンソンというなじみの少ない音楽がこれほど響いたのは、
今、というタイミングに聴いたことも大きい。
その人は自分でも和訳をされているけれど、コメント欄がなく転載の了解が取れないので、
下ではネットに出ていた別の訳を引用している。
でも訳として読むには、絵描きさんの方がわかりやすい。
この曲は日本では沢田研二加藤和彦などがカバーしている。

Boris Vian "Le déserteur" ボリス・ヴィアン「脱走兵」
作詞:ボリス・ヴィアン 作曲:ハロルド・ベルク  1954年  


 

Monsieur le Président
Je vous fais une lettre
Que vous lirez peut-être
Si vous avez le temps

大統領閣下
お手紙を差し上げます
お時間がある時
たぶん読んでいただけるでしょう

Je viens de recevoir
Mes papiers militaires
Pour partir à la guerre
Avant mercredi soir

たった今
水曜の夜に
戦地に出発せよとの
礼状を受け取りました

Monsieur le Président
Je ne veux pas la faire
Je ne suis pas sur terre
Pour tuer des pauvres gens
C'est pas pour vous fâcher
Il faut que je vous dise
Ma décision est prise
Je m'en vais déserter

大統領閣下
わたしは戦争をしたくありません
哀れな人びとを殺すために
わたしは生まれてきたのではありません

あなたを怒らすためではありませんが
でもいわなければなりません
もう決めました
わたしは脱走します

Depuis que je suis né
J'ai vu mourir mon père
J'ai vu partir mes frères
Et pleurer mes enfants
Ma mère a tant souffert
Elle est dedans sa tombe
Et se moque des bombes
Et se moque des vers

生まれた時から
わたしは父が出征し
兄弟たちが出征するのをみました
そして自分の子供たちが泣くのをみました

わたしの母は苦しみぬき
今は墓の中で
爆弾をあざ笑い
うじ虫どもをあざ笑っています

Quand j'étais prisonnier
On m'a volé ma femme
On m'a volé mon âme
Et tout mon cher passé
Demain de bon matin
Je fermerai ma porte
Au nez des années mortes
J'irai sur les chemins

わたしが捕虜だった時
わたしは女房を奪われ
わたしの魂を奪われ
わたしの愛しい過去まで奪われました

明日の朝早く
死んだ年月を置いて
わたしは扉を閉め
旅に出ます

Je mendierai ma vie
Sur les routes de France
De Bretagne en Provence
Et je dirai aux gens:
Refusez d'obéir
Refusez de la faire
N'allez pas à la guerre
Refusez de partir

わたしは物乞いをして暮らすでしょう
ブルターニュからプロヴァンスまで
フランスじゅうの街道を歩いて
そしてわたしは人々にこう訴えるでしょう

服従することを拒みなさい
戦争を拒否しなさい
戦場にいっちゃだめだ
出征を拒否しなさい、と

S'il faut donner son sang
Allez donner le vôtre
Vous êtes bon apôtre
Monsieur le Président
Si vous me poursuivez
Prévenez vos gendarmes
Que je n'aurai pas d'armes
Et qu'ils pourront tirer

もし血を流さなくてはならないのだったら
ご自分のを流しなさい
あなたはとんだ偽善者だ
大統領閣下

わたしを追跡させるのでしたら
憲兵におっしゃっておいてください
わたしが武器をもっていないことを
そして撃ち殺しても構わないということを

(所収/東芝EMI)

悲劇を微笑みながら語り、まるで口笛のようなフランスのメロディ。
えらく胸にしみるのは、今という時だからだろうか。
仮に将来日本が戦争状態になったとき、
若年層の少ないこの国では、私の年代でも赤紙が来る可能性はあるだろう。
そのとき私は、「脱走兵」にはとてもなれないだろう。。
いや、誰も脱走できないから、平和な時に歌われたのだろう。
今、猜疑と不安とともに、くり返しこの曲を聴いている。
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