TBSドラマ「レッドクロス」

 05, 2015 00:46
週末TBSで放映されたドラマ「レッドクロス」は久しぶりに見応えのある番組だった。
TVドラマをほとんど見ていないのに、今回この番組を見ていたのは幸運だった。
ゲームタイトルのような番組名「レッドクロス」とは赤十字のこと。
第二次大戦時に女性でありながら赤紙を受けて招集され
満州に渡って戦地で救護活動をした従軍看護婦の物語である。
監督の福澤克雄さんは大ヒットドラマの「半沢直樹」を手がけている人だ。
骨太のドラマを演じたどの役者も素晴らしかったが、
とりわけ主役の松嶋菜々子、その息子役(次男博人)の高村佳偉人、
その中国人養父役の薄宏(bo-hong)が素晴らしい。
薄氏と、息子ふたりを売り飛ばす日本人役の加山到は
20年前のドラマ「大地の子」にも出演していて、
番組制作に込めた意思をそこに強く感じてしまう。
そして戦後も帰国させず看護婦として従軍を強いた八路軍の幹部を演じた俳優は
てっきり中国人かと思ったら、小松拓也をいう日本人俳優で、
あまり知られていない分、端整な顔立ちによる存在感が抜きんでていた。
なお、薄氏、小松氏共に声がいいと思っていたら、お二人とも声楽家、歌手でもあるそうだ。

このドラマは実話、または実話を元にしたフィクションだと思って見ていた。
というのは、昼に番組制作に伴う実際の従軍看護婦のドキュメントがあって、
そこに現在も存命の方が何人も出演して実体験を語っていたからだった。
戦後70年(彼女たちにとっては戦後60年)を機に、
ふたたび旧満州を訪問する密着ドキュメントも合わせて取材され、
ドラマ以上に壮絶な人生を追体験していた。
当時身につけた中国語は60年経った今もまったく錆びておらず、
90歳近い年齢で心身共に壮健な様子には目を見張った。
なのに番組のエンディングで「このドラマはフィクションです」
というクレジットが流れたのは意外で、これには何らかの配慮があるような気がする。

戦後、シベリアへ抑留された日本人は長い人で10年に及んだというが
戦後も中国八路軍に従軍させられた日本人はさらに長く、
帰国したのは1953年だということをはじめて知った。
最近民放でこれほどスケールの大きな番組が制作されることは珍しい。
美術セットも大きくコストがかかっており、周囲の自然環境にも大陸のリアリティがある。
おそらく大規模な中国ロケが敢行されたのだろう。
TBSテレビ60周年記念番組ということ以上に、
きな臭くなっている戦後70年にこういうドラマを制作するには、
おそらく大きな決意があったことが想像される。

赤十字とは、紛争地において敵味方なく救うこと、
それ以外の災害地などでも、
宗教や人種を超えた中立・公平な救護活動をすることを基本原則にしている。
赤十字をかかげている病院や車両、人には
絶対に攻撃を加えてはならないと国際法でも決められているのはそのためである。
このことは、日本が(法によって)立てた非戦の誓いと、
どこか通じるところがある気がする。
武器をとって貢献する国が普通の国だとしたら、普通の国にならなくてもいい。
「肩身が狭い」と嘆じるより、評価の多様性を信じてもいいのではないかと思う。
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