展覧会場にて

 30, 2015 13:12
山下公園の雲
(コンテ)
ここのところ展覧会へは足が遠のいていたのだけれど、
友人から彼の奥さんの個展の案内をもらって、最終日にともかく出かけることにした。

会場は東京から離れた横浜にもかかわらずたいへんな盛況で、
7割方は20〜30代の若い人、ほかは幅広い年齢層の入場者が
広大な会場で熱心に作品を見ていた。
入場が有料にもかかわらずこの集客というのは、ちょっと驚くしかない。
これだけの規模の展覧会が開催できるのは、作家であるとともに
企画立案とプレゼンテーションの能力も持ちあわせていないとできるものではない。
なにより、人を楽しませることができるエンタテナーであるのだろう。
先週日曜美術館で紹介されたこともあるだろうが、とにかくたいへんなものだ。
「アート」という作品の生産と、一枚の絵をこしらえる作業は
どちらも人の手から生み出されるものではあるけれど、グラウンドの違いを感じる。
下世話ながら気になるのは、
これらの巨大作品を展覧会後どこに仕舞うのだろうか、ということ。
それを以前友人に聞いてみたら、「展覧会後の納入先はいつも決まっている」とのことで、
そうでないと次の制作に取りかかれないのだと。
そう聞いてなるほどと納得するとともに、
貧乏性の人間が考えるのとはちょっと次元の違う話に圧倒されてしまった。

会場を出てると、目の前一杯に山下公園が広がっている。
公園のベンチでコーヒーを飲み、
西日を浴びてオレンジ色に輝きだした横浜港と対岸へ延びるベイブリッジに見入る。
東京方向の空はやや濁った空気の層が地平付近を覆って見える。
時間は4時を過ぎている。
「暗くなるまでに一枚描けるだろうか」と
少し迷ってから4号のスケッチブックを取り出し、コンテで描き出した。
先週も使ったこの画材は色数が少なく、
クロッキーなどには便利だけれど、写生には少々物足りなくなる。
でもそれが画にスピード感を与えたりするのが面白くて、時々使っている。
さっきまで目にしていた現代アートの世界からはあまりにかけ離れた風景の写生。
しかし実景を目の前にして画材を走らせる楽しさというのはまた、何にも替えがたい。
一枚描いたところで腰を上げようとして、そこから右へ30°ほど寄った構図をもう一枚、
珍しく計二枚描いた。
氷川丸の右上に浮かんだ小さな丸い雲が描いている間中、
どういうわけかずっとそこに浮かんで動かず、形も崩れなかったのが不思議だった。
東京方向の空は、濃い霧のようなベールが降りて見える。
あの空の下で自分たちは暮らしているのか。
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