美術館の閉館

 25, 2015 02:25
神奈川県立近代美術館鎌倉館テラス

神奈川県立近代美術館の鎌倉館が来月で閉館になるのだそうだ。
入場者数の激減や経営的に行き詰まったわけでもない公立の美術館が
閉館になることがあるのか、と驚く。
しかもここは、世界で三番目にできた近代美術館であり、
もっと重要なのは、日本で最初にできた公立の美術館であるということだ。
理由は建物が建っている敷地は借り物で、隣接する神社が大家であり、
その借地権契約が満了するからだと広報に出ている。
その地にある文化的な意味や建築の重要性は、まず飽きるほど上がったにちがいない。
つまりそれを押し返すほどの理由があったというわけだけれども、
それを知れば、なんだかがっかりさせられるような気がする。

とは言いながら、都内からは少し遠いので足を運んだ数は少なく、
閉館を惜しむなど言えた義理ではない。
最後に出かけたのは2年前の「松田正平展」だった。
出かけた時にテラスで飲んだコーヒーの記憶が懐かしいが、味は覚えていない。
日曜美術館で紹介されていたが、あのカフェテリアのオレンジ色の壁画は、
そうか、田中岑の作品だったのか。
気まぐれ美術館で名前だけ知ってはいた。

松田正平さんの作品に触れたのはその時初めてだったが、
晩年になるほどマチエールが磨かれてゆくようだった。
周防の海を描いた作品が特に美しかった。

野見山暁治さんのエッセイに松田正平さんについて触れているところがある。
「芸術大賞のパーティーに出たら、受賞した松田(正平)さんが、
 候補に挙がっていたぼくの手を握って、
 年寄りだから勘弁してつかあさいと言った。」
どう感想のいいようもない短い話だけれど、
展覧会へ出かけたときの穏やかな晴れの日の思い出とともに、
この話がずっと印象に残っている。
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