見てみたい日曜美術館、40年間のアーカイブ(その4)

 06, 2016 00:43
日曜美術館タイトル

最後は駆け足になる。
香月泰男については何度もとりあげられている。
なかでも澤地久枝さん語る香月泰男(1983年No352)と、
1989年(No688)は野見山さんが語っている回を見てみたい。
野見山さんの香月泰男に関するエッセイは、
シベリアから帰還した画家の孤独を描いて秀逸だった。

宇佐見英治と野見山暁治が語るユトリロ(1984年No438)、
死に神博士こと天本英世語るサルバドール・ダリというのも面白そうだ(1981年No267)。
ダリについては楳図かずおも語っている(1989年No672)。
日本人はダリにホラーの香りを感じているらしい。

「黒潮の画譜 田中一村」(1984年No447)は
再放送も含め何度も見ていて、最近NHKアーカイブでも放送された。
番組が無名の画家を掘り起こしたことでは先に丸木スマがあるが(1981年No278)、
技術芸術的にもこれほどの画家がこれまでまったく知られていなかったことが
たいへんな話題になった最初の記念碑的な回だった。
一村の画を初めてこの番組で見たときの衝撃を忘れない。
日本人の目で初めて南国の自然を見たような気がした。
それまでなじんできた日本の四季をしのぐ、熱帯の花鳥風月の美しさの発見。

こういうことは通常滅多にないことであるけれど、
その後も高島野十郎など(1993年No913)何度か起こっていることが
ほかの民放番組の追随を許さないものにしている。
ただ、図録には他にも番組が発掘した画家として出ている、
小泉清(1988年)や藤牧義夫(1986年)は番組以前に
洲之内徹の気まぐれ美術館に何度も紹介されてはいる。
藤牧義夫については連載の最後でもあるからどちらが先かはちょっと微妙だ。
このあたり、とうとうわからなかった。
そして画商、作家ながら洲之内徹もまた、番組にとりあげられている。
洲之内コレクションについて語っているのは、意外にも池田満寿夫だ(1994年No922)。

自作の箱車で生活しながら放浪した佐藤渓(1994年No942)、
天野祐吉さんが語る谷内六郎(2001年No1290)、
そして以前に金言が詰まった「随想」をここでも紹介した小泉淳作(2002年No1348)、
辺見庸が語る鴨居玲(2002年No1331)は音声だけでも聞きたい。

マグリットを語る藤子不二雄Aは面白そうだ(2002年No1362)。
私がマグリットを初めて知ったのが藤子作品「魔太郎が来る」で、
その中でマグリットの作品を子供にもたいへん魅力的に紹介されていた。
これはなかなかできないことであるように思う。
その作者は漫画執筆から30年近くを経てどんなふうに語っていたのだろう。

あと、野見山さんがエッセイスト賞を受賞した「四百字のデッサン」の中で
とりわけ面白い話が坂本繁二郎画伯についての「巨匠の贈り物」というエッセイだ。
それがやはり面白かったせいだろうか、
その野見山さんが坂本繁二郎について語る(2006年No1550)というものあった。

手元にある資料は2006年までだけれど、その後自分が再度筆を持ったこともあり、
以後の番組で気になったものはほとんど見ている。
資料末尾に、これも敬愛する作家、
舟越桂さんが語るジャコメッティ(2006年No1553)というのもあって
この回もぜひ見てみたい番組だ。

最後は駆け込み詰め込みで長くなってしまったけれど、もうひとつだけ、
番組スタジオ奥に毎回置かれているフラワーアレンジがいつも素晴らしい。
2010年以前はわからないが、以後現在に至るアレンジは
フラワーアーティストの加藤淳さんが担当されている。
美しいだけでなく、とりあげられる作家の雰囲気にとても合っていると思う。
私が覚えている限りでもっとも印象に残っているのが2014年の関根正二の回。
ありがたいことに過去の作品をネットで見ることができる。
もちろん写真よりも、TVの大きな画面で見たほうがすばらしい。

後半の量の多さはつまり、「よく見ている」つもりが、
自分がいかに見逃している時が多いかを証明している。
だから偉そうなことは言えないけれど、
お笑いとバラエティー番組ばかりの現代のTVでこういう番組は貴重だ。
これからもずっと続くとおじさんの日曜は休日は楽しい。

nichibi_07
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COMMENT 1

Fri
2016.07.29
10:04

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