「直ちに健康に被害の出るレベルではない(?)」を自分で計算する

 24, 2011 04:03
ソフトバンクの孫正義社長が声を上げた
今まで原発に関して楽観論ばかりが世を覆っていたが
やっと社会的に影響のある人が声を上げた。

福島県民は本当に危険なはずだ。
「健康に直ちに影響のないレベル」とはなんなのか。
この限りなく釈然としない、玉虫色のデータは自分で計算してみることができる。

・・・・
いっこうに進まない救援物資の運搬、避難者の方々の地獄のような生活をTVで見続けて、
さらに胃が痛くなる毎日だ。
週明けからは仕事に没頭してやり過ごしてきたが、
TVのトーンがなんか震災後はもろもろ収束の方向に・・・
的な感じになってきているのはなぜか。。。
悲惨な映像の次に、物資が届いた明るい映像をくっつけるのはやめて欲しい。
助け合ってがんばっていて笑っている、との報道は止めて欲しい。
ほとんどが風呂も入れず、おなかいっぱい食べられず、
氷点下の体育館に横たわったままじゃないか。

連休中に電源をつなげるはずの福島県の原発はまだ稼動には至っていない。
煙も毎日のように上がっている。
なにもよい方向へは動いてはいないのだ。



ところでまず注意したい、
TVでは放射線許容量を超えたの越えないのという報道ではこういう言い方をされる。
「1年間に一般の人が浴びる放射線許容量(1ミリシーベルト)を一時間で超える値」とは、
つまり、これを仮に1年間浴び続けると
= 365日 × 24時間 = 8,760(ミリシーベルト)を超える量、ということなのである。
追加で書くと、一時間あたりの数字で言うと
一時間あたりの人体の許容量は
1÷365÷24=0.0001141(ミリシーベルト)=0.1141(マイクロシーベルト)という値になる。
1時間あたりでは、こんなに許容量は小さいのだ。
許容量の約一万倍に近い数値は、じっさい事故直後に計測されていた。

この計算は聞けば誰にもあたりまえに理解できる。
こういったマスコミの情報、とくに「ただちに健康に被害のでないレベルとはどういうことなのか」など
どうとればいいのかわからないようなことをわかりやすく解説されているサイトがある。
中部大学の武田邦彦教授のブログは震災後に立ち上げられたものだ。
教授によると、最初はかなり危機的な状況にある、と書いていたが、
事態は心配していたよりも小さい汚染で済みそうになってきた、という
現状やや楽観的な見通しのブログ。(ただし、見通しは日ごとに変更することもある)


もう一つは先日アップしたYouTube画像の、広瀬隆さんの最新の講演
2時間近いので、自宅ででも見てください。
冒頭、ジャーナリストの広川隆一は単身ガイガーカウンターを持ち込んで
原発のある双葉町、大熊町などへ徒歩で乗り込んだ。
20km圏内の人が「念のため外出は控えるように」との政府発表を
う呑みにして外出する住民が多いのに驚く。
100マイクロシーベルトまでしか計れない持参のカウンターは振り切れているというのに。
繰り返すが、1時間あたりの人体許容量は0.1141マイクロシーベルトである。
(動画では、3km圏内では知人の1000マイクロシーベルトのカウンターも振り切れたという)
危険数値を計測した地域の住民に避難するように、広川氏は汚染地域を歩いて警告して回る。
放射線レベルはとっくに危険を超しているのに、政府、県から避難勧告は出ていないのだ。
後半、広瀬氏は現状収束するかに見える原発について、さらに深刻な事態をさまざまに予測。
福島県民を今すぐ避難させないと大変なことになる、と警告。

上記のような、本当に危険を感じられる言い方をNHKはじめ、マスコミはしない。
たとえばこの報道
「福島第1原発の事故後3~4日の間に放出された放射性物質セシウム137の量は、
旧ソ連チェルノブイリの原発事故後10日間の放出量の20~50%に相当するとの試算を明らかにした。」
とあるが、
「3~4日の間に放出された」のが「10日間の放出量の20~50%に相当する」ならば、
同じスケールにして言い換えると、10日間ならば50~166%(!)になる。
つまりその期間は、チェルノブイリの最低なら半分、最大だったら166%の放出だ、と言っても正解であり、
少なくとも私にはそのほうがわかりやすい。
4日目までを発表したのは、5日目以降が劇的に低下したからだと思いたい。
チェルノブイリは最初に爆発したのではなかったか
だから初期段階に大量に飛散したと考えるべきじゃないのか。

さらに昨夜、深夜になってこのような報道があった
先日、ここで海外で作られた放射性物質の飛散シミュレーションを紹介した。
このようなシミュレーションは日本でも緊急時には内閣府原子力安全委員会が作成する。
なぜ今まで動かなかったのだろう。
この「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」については、
数日前の日経新聞でも存在の不明が指摘されていた。
昨夜の報道によると、
「地震発生の翌日の12日から12日間に、屋内退避を指示されている同原発から
 20~30キロ圏で累積500ミリシーベルト、
 30キロ圏外でも同100ミリシーベルトになる地点があるという。」
ため息が出る。
すでに12日間にして年間許容量に達し、あるいは大きく超えている。
全てが起こってから分析したり原因がわかってもなんの意味もないだろう。
シミュレーションは30km圏内、この12日間の累積だけである。
20110324_SPEEDI
しかしこれは、あくまで「シミュレーション=予想」だ。
過去のことなのにこんな大事な実測データがない。
海外から責められているのはこういうデータが公表されないからで
公表されないのではなく、できないからだと知ったらなんと言われるだろう。
この画像、「禁無断転載」とある。
機械的に書き入れたのだろうが、とんでもないことで、
内閣府が出したこの大事な図をみんなが見なくてどうするのだ。

福島県の人は上記の深夜の発表をご存じなのだろうか。
孫社長のことばなら「風評」扱いにはならないだろう。
これで世論が動かないときっと深刻な悲劇が今後起こる。
しかも「ただちに」現れずに、数年後に起こる。
ここで吠えていてもどこにも届かないので、アリの声にしかならないが、
上のことを民主党の「ご意見フォーム」から投書した。

先日アエラの表紙が問題になった
私の香港の友人によると、原発周辺の避難が始まった直後から、
海外ではこのようなガスマスク軍団に検査される無防備な子供達の写真一色だったという。
海外では(勇み足ももちろんあるが)大きく報道される写真が、国内では「謝罪」ということになってしまう。
出版社も海外の猿まねでショッキングな写真を掲載したのだろう。
報道に自信がないからすぐさま謝罪という、こういう情けないことになる。


世論が圧倒的に一方に傾いたとき、一歩立ち止まって周りを見よう。
私は、こういうときは非常に注意しないといけない、と思っている。
今、「安全」があまりに楽観的に語られてはいないか、と思うのだ。
「風評」とは、「ほんとうのことを言わないことによって起こる」と先の武田教授は言っている。
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Tag:東日本大震災 東北・関東大地震

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