塔の島-1

 16, 2016 00:38
マンションの島(佃島)-1
(ガッシュ)

週末、ふと思い立って地下鉄に乗り、茅場町へでかけた。
お盆に都心のコンビニ・イートインにいるのは主に外国人の家族。
場所柄(兜町が近い)、観光客ではなくて在日の米国系金融マンだろう。
そこから5分ちょっと歩くと、永代橋の上から佃島のタワーマンション群が見渡せる。
バブル期に開発にあたった不動産会社は、NYバッテリーパーク沖から見える
マンハッタン島をイメージしていたんじゃないだろうか。
あくまで「それふう」というだけの印象だけれど、
この風景を見ているとそんな気がしてくる。

佃島というのももともとはその下町あたりだけのほんの小さな島だった。
石川島と佃島、ふたつあった島が周囲を含め埋め立てられてひとつになり、
画にも見えるマンションの建っているところには工場があったのだと、
通りすがりの絵描きさんに教えてもらった。
もう50年絵描きをやっているとか。
新宿の世界堂へキャンバスを買いに行った帰りとのことで、
自転車をこぐ顔は日焼けと汗とで黒光りしている。
工場は石川島にあったので石川島播磨重工業という名になったが、
佃煮だけがこの地のイメージ産業として今に残り、
世界的に有名な企業の名が発祥の地から忘れられている。
このタワーマンション群もバブル期の遺産で、いわばバブルの塔だ。
塔の根元はいったいどうなっているか、虹の根元のように気になる。
未来都市を思わせるタワー群と木造の下町、将来どちらが長生きするだろうか。
ネガティブなことばかり書いたけれど、
ここからの風景は日本には珍しくSFチックな景観だ。
真裏にレトロな下町が残っているというのもアジアっぽい。
バブルがもう少し長く続けば、そこも跡形もなくなっていただろう。

永代橋が工事中だったので、狭くなった歩道で邪魔にならないよう、
柱の脇に腰掛けて手早く写生した。
ほかに画を描いている人はいなかったけれど、
写真を撮りに来たシニアのカメラマンは多かった。
下の隅田川を水上バスが通るたびに腰を浮かせ、水面に残す航跡を少しずつ描く。
絵描きのおじさんも、ここはいろんな船が通るからおもしろいんだと言っていた。
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