「風評」は野菜だけではない。避難者に対する「放射能差別」の誤解。

 03, 2011 18:28
ロイターより、避難所(写真はロイターより)

首都圏の大きなホール会場へ避難してきた福島県の方が、
半月もせず別の場所へ移動させられるのを見て、
少し不思議に思った人も多いのではないだろうか。
次のイベントが入っているからだろう、くらいに思っていたが、
実情は実にやるせないものだった。
・・・・
理由の実情とは「放射線の二次汚染」の風評である。

福島県からの避難者が避難先の住民、あるいは設備管理者から
「原発30km圏内から避難してきた人はみな被ばくしているのではないか」
「放射線を浴びた人の近くにいるとこちらも放射線を浴びるのではないか」
「早めに出ていってもらった方がいい」
表立ってはいないけど、これらの誤解が原因だというのである。
それも一カ所ではない。
地獄をくぐってやってきた人々が避難した先から風評のためにまた
出て行かざるを得なくなるというのだ。
広島・長崎で65年前に起こったことが、この現代の日本の、首都圏で起こっているのである。

 ひとつおことわりしておくと、原発周辺からの避難者にはすべて放射性物質の付着がないか、
 スクリーニング検査が義務づけられており、その証明書がないとどこにも行けないのである。
 だから避難者はすべてこの検査をパスしているといえる。

それを身内から聞いてほかにいい方法が思いつかず、
私はNHKと民主党、あと先日紹介した武田邦彦教授ブログの「ご意見フォーム」から投稿した。
ありがたいことに武田教授のブログで取りあげていただいた。
(私以外にも投書があったのかもしれないけれど)
以下、武田教授がQ&A形式で答えてくださった部分を引用する。


Q.
放射線の二次汚染はないと認識してはいますが、実際のところどうなんでしょうか?
A.
放射線で被曝した人と接しても、接した人が被曝するということは全くありません。従って福島県民を排斥するような活動は私は断じて許すことができません。ただこのようなことが起こるのは、ある時には科学的、ある時には非科学的に行動するとこのようなことが起こると思います。従って正しい行動するためには常に正しい価格的知識(おそらく「科学的」の誤植)に基づいて、行動することが福島の人にも大切ではないかとわたくしは思っています。具体的には昨日の海水の放射性ヨウ素が基準値の3300倍だったにもかかわらず、「健康に影響がない」というと、非科学的ですから全体がわからなくなって、それが「福島県人は来ないでくれ」という話になるわけです。そこのところ福島の人も絶対に頑張ってもらいたいと思います。



こういうことは、できればTVで芸能人の顔ばかり売っている自粛広告なんかのかわりに、
十分の一でもこのことに触れてくれないだろうか、と思う。
「風評」というのは野菜や治安のことだけではない。


実は私の奥さん方の親戚が、福島第一原発の20km圏内から逃れて今、避難所生活をしている。
10年前福島県に移り住んで以来、椎茸栽培がやっと軌道に乗り始めたところだった。
安心だと聞かせられていたのに、ある日の深夜、急にみんな公民館に集められた。
そこで突然「これから避難してもらます」といわれ、
そのままなにも持たずにある人は自分の車で、別の人はバスで移動させられたのである。
以来、生活を支えていたすべてを捨てて3つの避難所を移り住んだ。
最近まで近県の親戚のところへ身を寄せていたので安心していたが、
上のような避難先住民の気配は感じていたらしく、それで厭な気がしたのかと聞いたら
「申し訳ない」と思ったのだそうだ。
この話をとっても今回の被災者、避難者の姿を象徴している。

その安全な場所を出て彼ら家族はふたたび会津の避難所へ戻ってきた。
環境の急な変化に子どもが耐えられず(一日中、泣きやまなくなったという)、
学校の同級生が避難している同じ場所へ戻ってきたのだった。
ところで戦前、あるいは関東大震災の時に疎開するとき、
家族単位ではなく、村、学校のクラス単位で避難、疎開した子どもたちは
とても元気だったという話を聞いたことがある。

今、その奥さんと子どもたちがいる避難所体育館には500人がすし詰め状態で暮らしているが
子どもたちは以前の安全だが知らない土地、知らない人の中にいるときよりは元気だそうだ。
そこに簡単に東京へやってこれない実情がある。
お父さんはひとりでこちらの姉夫婦のところへやってきて今、東京で仕事を探している。
物資は届くようになったけど、避難所では毎日なにもすることがないのが一番つらいのだという。

震災と原発事故で現実を忘れているが、日本全体が今不況のまっただ中である。
こちらに普通に暮らしている都民が、職を失ってなかなか次の仕事を見つけられない。
避難してきたお父さんはこちらのハローワークに行ってみたが、
やはりなかなか見つけられないそうだ。
募集先に電話を入れても「避難してきた」と言ったとたん、断られるそうだ。
仕事を見つけて家族をこちらに呼べたとして、子どもたちが学校で差別を受けないか、
とても心配だと言っていた。
応募先企業の電話の応対の話を聞いて
「大丈夫だ。こちらではそんな差別は絶対ないよ」とは、私はとても言えなかった。


このような避難者の現実が、20万人にひとりずつのしかかっている。
それを背負っているにしては、政府の対処・行動はあまりに軽く、近視眼的であり
知恵や良心や、なにより慈愛に欠けてはいないだろうか。
自分の子どもが通う学校であれば、校庭に放射性物質があるとわかって
「舞い上がった砂などが口に入らないように注意したほうがいい」

と言って平気で通わせることができるだろうか。
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Tag:東日本大震災 東北・関東大地震 放射能差別

COMMENT 6

Tue
2011.04.05
23:05

タブロウ #3h4yWL0g

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No title

ありがとうございます。
なにやら力が湧いてきました。

今からでも遅くないと、
アドバイスいただいたように、今言いたかった前半に絞りました。
後半はまたの機会に。

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Tue
2011.04.05
21:55

ぱんどる #-

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No title

私もブログを始めた頃は、ずいぶんと熱が入りすぎた記事を書いて
誰も読んでくれずイライラしたものです。
この記事は、最低3つの記事に分けて書かれたほうが良かったと思われますし
読まれてなんぼ!
読まれなくて良いブログも勝手ですが、私はそのようなブログには興味が無く
せっかく不特定多数のコメントをいただけるサイト インターネットですから
利点を拒否しないで頂きたく思うからです。
個人的にいい記事だなと思いましたので背景分かっちゃいるけど、もったいなく辛口を書いてみました。
私は、なかなかブログのコメントにおべんちゃらを書かない体質なんです。
ブログコメントの多くは、ほぼオベンチャラですから 記事よりコメントに熱を入れて
書くようにしております。

タブロウさんこそ一家族も救えるであろうヒト 必要なんじゃないでしょうか
私に一人の人も救える力はありません 是非その御家族バックアップして頂きたく思います。
100億の寄付出来る人に一家族を救うことは出来るでしょうか?
原発のリスクは高すぎてペナルティーが消えるに人類は地上にいないかもしれない
年月の代償はコレ以上無い高利化しに金を借りた形と言えます。

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Mon
2011.04.04
23:10

タブロウ #3h4yWL0g

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No title

ぱんどるさん、こんばんは。
書いているうちに押さえ切れなくなって、つい長くなってしまいました。

書いたあともそうでしたが、コメントを読ませていただいて、
ほんとうに私が書いて、怒っていい内容なのか、思い上がっていないか、
答えるのに苦しい心境です。

私の親戚はこれまで疎遠だったのですが、話してみると本当にいい男で
今後向こうで生産することが難しい現実を、
少しずつ受け入れはじめているのを見ているのがつらいです。
私は広島や長崎が今や大都市になり、農家もあるだろうことから
いつかはきっと戻れる、と言っているんですが、実際のところはどうなんでしょうか。

この不況下、私自身がまだまだ危ういのですが、
私はこれから彼ら家族を、全力でバックアップしていこうと思っています。
東北の大勢の被災者の方々には大したことはできませんでしたが、
一つの家族になら何かできるかもしれません。
話をうんと聞いてあげるとか、夏には一緒にキャンプに行くとか、そうそう、
新しい家に飾る絵を描いてあげるとか。
できることはこんなことくらいかもしれませんが。。。

おっしゃるように私たちは自分の無知と無責任の放置を猛省する必要があります。
まずは原発推進派の現都知事にNoを言うべく、選挙に行かねば。。

しかしぱんどるさん、コメントを読んで思いました。
あなたはやはり生かされているんですね。
今、あなたのブログを訪れる大勢の人の中に元気を生み、そして必要とされています。

Edit | Reply | 
Mon
2011.04.04
19:39

ぱんどる #-

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No title

ちょいとブログにしては、長すぎる記事ですね^^;
人が読んでくれないと 言いたいことも消えてしまいます。
以前私のブログにも書きましたが、私の母は広島で被爆手帳を持つ被爆者
つまり、爆心地から2km以内にいた当時小学校2年生 クラス友は母を残し目の前で全員死亡
母は奇跡で物陰のおかげで無傷でした。が!
その子供私は、2世と呼ばれ当時政府が発表したコメント「2世の癌になる確率が高い」が引き金となって2世ファイルが出回り一地域限定の差別となり
被爆者もしくは2世から被爆する 重要なポストについたころ癌になって死ぬという噂が回り
一流企業銀行などの就職や結婚が困難と言われたこと数回ありました。
実際、一部企業に2世ファイルが出回り社会的問題になったこともあります。
広島市民なら誰でも影で知っている裏情報であります。
つまり、福島は原爆が落ちたと同じ状況にあります。
日本で3つ目の原爆が落ちたのです。噂は今後間違いなくおこります。
今、幼児でも大人になり子供を生んだときにその子は2世と呼ばれ
覚えの無い背景に苦しめられます。
なにより、土地に戻ることが出切るのでしょうか?
この責任は、東電や国は当たり前のことですが、我々東京都民も知らなかったとは
いえないと思います。

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Sun
2011.04.03
20:27

タブロウ #3h4yWL0g

URL

No title

>アイビーさん、こんばんは。

これほど素人のギモンが当を得たことであり続けた大事件がこれまであったでしょうか。
唯一よかったこと、
世界中に散らばって生きている人間の方が、国や我が国の企業なんかよりは、
信じるに足るとみんなが思っただろうということでしょうか。
そう思いたいです。

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Sun
2011.04.03
19:14

アイビー #2toZYr9Q

URL

No title

阪神・淡路大震災の経験がどこに生かされているのかと思いますよね。
なんだか最近ニュースを見ても、むなしさだけが残ります。

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