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「サッコとヴァンゼッティ」

 15, 2017 02:03
東京湾をゆく船-21(ガッシュ)

お盆の週末、TSUTAYAで「死刑台のメロディ」を見つけて借りてきて観た。
1971年のこの作品は、私的にはベン・シャーンの初期の作品、
「サッコとヴァンゼッティ」の連作を通して(少しだけ)知っていたのだけれど
日本タイトル「死刑台のメロディ」というのはどうもピンとこない。
「メロディ」とは主題歌を歌うジョーン・バエズの曲のことだろうか。
それとも背景に流れるモリコーネの音楽のことだろうか。
いずれにしてもストーリーともサッコとヴァンゼッティの二人とも関係はない。
おそらく、「死刑台のエレベーター」か「恐怖のメロディ」の下にいる
ドジョウを狙ってのタイトル名かと想像するけれど
事件の悲惨さと重大さを考えると、あまりに能天気な日本語タイトルである。
といって私も詳しくは知らないその事件を、映画で見たいと思って借りた。

ベン・シャーンの画は報道写真を元に淡々と描いたにもかかわらず、
受難の悲劇と、不寛容の傲岸を描いて余りある。
主役の二人は本人にも、シャーンの画にもそっくりだった。
ストーリーは1919年、
アメリカの暗黒時代と言われる赤狩りのずっと以前のことだ。
アメリカという国は「自由」という看板を掲げながら
暗黒の側面をずっと抱え続けてきた国だと改めて思う。
それゆえ血とともに流れた時間が、他国以上の分厚い民主主義を作っている。
にわかにデモをしたり、借り物の音楽にのせて怒ってみたりする日本とは
お話にならないほどの差がある。

製靴工場に起きた5人のギャングによる強盗事件の犯人として逮捕されたのは、
イタリア移民の靴職人、ニコラ・サッコと
魚の行商人バルトロメオ・ヴァンゼッティだった。
裁判はは決定的な証拠もなく、
明らかなアリバイがあったにもかかわらず死刑の判決が出た。
当時世界中に裁判のやり直しと助命嘆願がされたものの、刑は執行された。
当時の、とくにイタリア系移民に対する偏見と、
貧困からアナーキストになった二人への社会の排除の力学を描いて恐ろしい。

ところで作品を見た翌日、アメリカのバージニア州で
白人至上主義団体と反対派が衝突し、死者が出る事件が起きた。
問題発言を毎日のようにはき出す米大統領は、
ここでも曖昧な表現で対応したために猛烈な非難を浴びている。
映画で見たばかりの100年前の事件がちらついてぞっとした。
日本のデモクラシーの先生は、このような暗黒の側面を持っている。
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