聖夜の舞台

 26, 2017 02:18
聖夜の舞台
どうやらこのまま一枚も描かずに年を越すことになりそうだ。

クリスマスというのは若者と子どもたちのもので、
オヤジになると、というよりも男というのはこの日に向けて、裏方仕事に精を出す。
「退屈な百の真実よりも、たった一つの素晴らしい虚構を」
子供にはいつまで白ひげのおじいさんの夢を見させられるか。
シロウト詐欺師は小さな観客を相手に、懸命に舞台の書き割りをこしらえる。
聖夜に続くひと筋の路、
ストーリーが破綻せずに終えられればまず笑って年の瀬を迎えられる。
セガレがDSを欲しがったある年、値札や包装紙を変えたまではよかった。
朝、私の寝床に駆け込んできて、
サンタのプレゼントにビックカメラの保証書が入っていたと、
これはどちらにとっても一大事。

それより何年か前、イブの夜に駅前を通りかかったら、
ケーキ屋の前にサンタ姿の店員が何人も客引きをしていた。
それを見て、一人のはずのサンタがたくさんいて、
しかもケーキを売っていると、心底驚いているのである。
どちらもこういう矛盾を目ざとく発見するのは長男である。

映画「三丁目の夕日」は子どもたちも見たがった。
この映画の中には三浦友和扮する町医者が、
サンタの衣装を脱いで種明かしするシーンがある。
プチ詐欺師はここで、TVはそのまま見せずにビデオを録り、
そこを編集、カットをしなくてはならない。

のんびりしていて見たものをそのまま受け入れる次男は
中学生になるまでサンタを信じていた。
てっきり、もう舞台裏はわかっているだろうとクリスマスに
「何が欲しい?」と聞いたら。
「なんだ、サンタはお父さんか」というつぶやきを聞いたときは
なんとも悔しかった。
自分で舞台の書き割りを倒してしまったわけだった。
聖夜の舞台はこの年を最後に、わが家からなくなった。
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