Alexander Calder - "Le Cirque"

 22, 2011 12:17
google_calder

今日7月22日は彫刻家、カルダーの生誕130年の日らしい。
上の画像はGoogleの今日のトップ画像で、
パーツに触れると部分部分で別に動くようになっている。
よくできている。
ただし、画面は今日一日しか見られない。。


カルダーは私が最も好きな作家の一人だ。
よい意味での「アーティスト」という呼び方が最もふさわしい、
100年経った今もその現代性をまったく失っていない、
真に現代アートと言える作品を、鼻歌を歌いながら残した彫刻家だ。
世界各地に巨大なモビールやモニュメントなどの抽象彫刻を残した。

しかし私がカルダーに完全にまいってしまったのは、
それらの巨大なモニュメント作品ではなく、
制作の余暇に彼がコツコツ造った針金人形たち演じる
「サーカス("Le Cirque")」という1本のフイルム映像によってだった。
・・・・

アメリカ現代彫刻の巨人、
アレクサンダー・カルダー(1898~1976)に関する書籍は
これほど有名にもかかわらず、以前日本ではほとんど発刊されていなかった。
大規模な回顧展というのも日本では2000~01年にかけての全国を巡回した展覧会が
ほとんど初めてに近いのではなかったか。
そのカルダーによる、動く彫刻の中でも異色の作品群、
「 "Le Cirque"(カルダーのサーカス)」はかつて名のみ高く、
その動く映像を見られる機会というのはかなり限られていた。


20年前に初めて海外を旅したとき、
ニューヨークのホイットニー美術館で
カルダー手作りの針金人形によるサーカス団のフイルムを見た。
とにかくそのすべてにびっくりした。
これら「動く」とはとても思えない、ざっくりとした造りの針金人形たち、
それがカルダーの手によって信じられないほど生き生きと、
器用に、精巧に、そしてユーモラスに、
「芸人」としてサーカス種目、そして一幕コントさえも演じる。
動力はすべて老いたる彼の手の動きに発しているが
そのどれもが彼のキャラクターたちによって絶妙の動きで演目を演じ分ける。

このサーカスは、カルダーがパリに渡った1920年代から
すべて彼の手によって(おそらく彼のアトリエで)最晩年まで上演し続けられてきた。
イラストレーターから出発したカルダーの彫刻家としての出発点は
実質的にはこのサーカス団ではないかと思う。
このミニチュアサーカスの観客席にはコクトー、ミロ、
さらにル・コルビュジェ、モンドリアン、レジェら、
そうそうたる芸術家の顔が並んだ。
また、観客であったモンドリアンの作品に逆にインスパイアされ、生まれたのが、
あの動く彫刻、「モビール」である。
巨大抽象モニュメントの制作は、さらにその後である。

フイルムの所々には、
興味無さ気な彼の奥さんが渋々手伝っている様子がおかしく映っていて、
ここにカメラマンのセンスを感じる。
「渋々」とはいうものの、
実はカルダーがこのサーカス団を携え、アメリカ行きの客船上で出会い、
恋に落ちたのがこの奥さんである。
NYにつく前、サーカス団のこけら落としは
まずこの奥さんルイーザの船室であったと思われる。


20世紀前半、当時のモンパルナスの芸術家たちから
熱狂的に受け入れられてきたのもムベなるかな。
そういうサーカスのすばらしい実写フイルムがありがたいことに残っており、
アメリカなどではビデオ販売もされていたが、日本ではなかなか入手が難しく
Amazonなどのネット販売で買えるまでは、長く幻のフイルムだった。
私もAmazonによって、十数年ぶりにそのDVD絵像を再見することができたが
それも今は昔、
今日ではTouTubeでいつでも見ることができる。

百聞は一見にしかず、下のリンク動画をご覧ください。
映像は晩年のものでマエストロはかなり歳を召されており、
上演中にぽっくり逝くのではないかと心配なぐらいだったが
しかしやはりサーカス自体は2011年の今見てもすばらしい。
感性がみずみずしく、若い。
20年前のアメリカでの興奮がよみがえる。
一見玩具っぽく見えるひとつひとつの人形、小道具が
まごうことなき彫刻作品であることに、やはりため息が出る。

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Tag:カルダー

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