「山小屋の窓から」

 30, 2011 11:51
山小屋の窓から(紙にコンテ)

結婚前、妻とよく山へ出かけた。
東京で生活する身には、
山の中というのはたとえ近郊の低山であっても、
日常からまったく切り離された別世界になる。
泊まりがけの高山ならなお、遠い世界にいける。
そしてふだんまったく目にすることのないものを見るため、
山へ入っていったとも言えるのである。
・・・・

妻を連れてはじめて本格的な山へ行ったときのこと、
身を隠すものの全くないガレ場ですさまじい雷雨に見舞われ、
生きた心地もせずに小屋へたどりついた。

山小屋では風雨がしのげて温かい食事ができる、
そのことに小屋の泊まり客は皆、心底感謝している。
だから山小屋では誰もがおとなしく従順だ。
食料とテントを持っていなければ、
ここを追い出されては生きてはいけない。
それにつけこんだような横柄な小屋のオヤジがいたり、
キャベツの炒め物にキャベツの味噌汁、キャベツの漬け物の食事を出して
「山では文句を言うな」と、
山の常識を押しつける非常識なオヤジも、かつてはいた。

今まで中高年のムサイ男とおばさんしかいなかった閉ざされた頂上世界、
「山ガール」なんていう今はやりの若い女性客が増えてからは
さすがにそんな時代遅れのオヤジもいなくなっただろう。
しばらく山から遠ざかっているけれど、
4年ほど前に久しぶりに訪れた時でさえ、
小屋のサービスは以前とは比べものにならないくらい良くなっていた。
山男は「軟弱になった」と吐き捨てるが
かつて小屋ではほとんど目にしなかった若い女性を前にして
本心から不愉快に思うものもまた少ない。
一泊一万円近く支払って、「硬派」を理由に汗臭い男と老人に囲まれ、
小学校の給食レベルの食事を食べさせられるよりは、はるかにいいだろう。
私も最近は、山は鍛錬やサバイバルの場ではなく、
楽しむところなのだという思いの方が強くなった。
無理したりナメてはいけないが、山はまず楽しむ場であるべき。


その日、濡れた衣服を小屋のストーブで乾かし、
乾いたものに着替えて放心したように窓の外を眺めたときの妻の様子を
今も鮮明に思い出す。
山はまだ、地味だった時代。
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Tag:デッサン 山歩き

COMMENT 4

Sun
2011.07.31
22:44

タブロウ #3h4yWL0g

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のまどさん、こんばんは。

お話、よーくわかります!
私も雲取山は大好きで、もう4,5回登っています。
しかもいつも11月末なんです。
その季節に3season用シュラフでテント泊ではかなり寒かったでしょう!
寒がりの私にはまったく無理です。
表の水場は朝には凍っていますし、もう雪が降ることもありますから。

私も下山中あと少しで麓の村、ということころで
危うく道を見失いかけたこともあり、
都内とはいえ、まったく油断できない山です。
ただ、周辺の自然はすばらしく、天気さえ良ければ
尾根の千本桜を含め、夢のような場所です。
はじめていく人は、東京にもこんないい山があることにきっと驚くでしょうね。

最近、子どもとのサッカーなどで腰を痛めることも多くなり
もう山は難しいかな、とちょっと寂しい思いです。

私はノマドさんの具象画のファンですが、
今アップされている「コート ド ドール」は楽しい作品ですね。
描いておられる時に楽しかったことがよく伝わってきます。

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Sun
2011.07.31
19:52

のまど #-

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山は良いですよね。

ウチも子供が生まれるまで夫婦で電車で2カ月掛けてEU12カ国を廻ったり、国内だと自転車で都内から奥多摩~長野~上高地~高山~岐阜~琵琶湖~京都と野宿しながら走りました。

11月末に雲取には秩父側から登り奥多摩湖まで縦走しました。

奥多摩なんてって舐めてたけど、サイクリングで使った3季用のシュラフでは雲取荘で張ったテントの中では凍え死ぬかと思いました。

テントもホームセンターで買った様な2人しか寝れないのに4キロもある代物でしたが^^。。。

下山は尾根ですっかり日が暮れて道にも迷いランプ片手に沢を降り遠くに『奥村』と言う集落の明りが見えた時には助かったと思いました。

そこから奥多摩湖までさらに遠くバスもとっくに最終便が出てましたが、夜道歩いてると土建屋さん風のミニバンのご夫婦が向こうから止まってくれて青梅駅まで載せて頂きました。

角刈りのサングラスで、ダッシュボードには紫色の毛あしの長い敷物を載せていてチョット怖かった^^ですが、御夫婦とも大変親切で降りる時に払おうとしたお金も受け取りませんでした。

それ以来その種の職業の方に対する見方も変わりました。

何の話でしたっけ、、^^。

そうそう山は又登りたいですね。。


パリの風景画の拍手の方にコメントを頂いてたのですね。

具象的な風景画も続けて制作して行きますので、これからも宜しくお願い致します。

それではお礼までに。。

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Sun
2011.07.31
12:07

タブロウ #3h4yWL0g

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hananoiroさん、こんにちは。

小屋泊まりは気楽に出かけられるのがいいですね。
今まで一度、小屋で泊まり客が私一人の時がありましたが
そういう時間を過ごした記憶は忘れられないものです。
もうしばらくは行くことはできないと思いますが。。

コンテはクロッキーで使われることが多いですが
描き込んでも面白い画材ですね。
これからもう少しうまく使えるようになれば、と思います。

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Sun
2011.07.31
08:17

hananoiro #-

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おはようございます*
モノクロの作品も新鮮でいいですね。
山派、海派どちらかというと私も山派かな。
山の空気は心身ともリフレッシュしてくれますね^^

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